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所ジョージ (46)

 師弟関係とは不思議なものである。血は繋がっていなくとも親子のような間柄になるのだ。実際のところ体験しないと伝わらないだろうと思う。とここまで書いたところで、何故だろう、ふと、所さん(所ジョージ)の歌が聴きたくなった。高校生くらいの時に”所ジョージ20周年Canniversamy(カニバーサミー)”というCDを一時の気の迷いで買ってからハマってしまったのだ。そういえば当時の同級生達は皆、モーニング娘や鈴木亜美に夢中であった。学校から帰るや否やLOVEマシーンでビートゥギャザーしていたのだ。そんな中、筆者は″まったくやる気がごいません″″ちり紙″″ギャンブル狂騒曲″などを聴いて喜んでいた。学校も休まない真面目な青少年だったので自分でも不思議であった。あの頃何でそこまで所さんに惹かれたのだろう。

所さんは芸人ではなくミュージシャンである。世間を様々な角度から眺め。曲作りをしているが9割型くだらない(褒め言葉)。なかでも″本当のトイレの神様″は聴いたことない方には是非聴いてもらいたい。歌詞を読むだけでも面白く、くだらない中に現実感が溢れ、つい笑ってしまう。何となく落語の滑稽噺に通ずるような気がする。

真面目な曲も幾つかある。いや、結構あるかもしれない。恐ろしいのはこれがまた良い曲なのだ。昔の曲だと″春二番″″忘れてしまうのであろう″″ひかえ芽に春″が好きだ。特に″ひかえ芽に春″はなんとなくこの時期になると頭に流れる曲だ。さらにラブソングもあったりする。コブクロさんに渡した曲″毎朝、ボクの横にいて″は缶コーヒーのCMにもなっているなんとなく幸せな曲だ。そして、トータス松本さんに渡した曲″邪魔にならない程度の僕で″、これは本当に名曲である。せっかくなので歌詞を拝借。いや、見てほしいから。

邪魔にならない程度の僕で
 作詞作曲 所ジョージ

″あの娘の 心の中に 運んでみせる
邪魔にならない程度の僕を
あの娘の 笑顔の横に いつも居てみせる
気持ち悪くない程度の距離で

好きと気が付かれないよに そっと
興味示さないと思われない 程度に

あの娘の心の中を そよ風ぐらい弱い 邪魔にならない程度の僕で″

どうですか、二番も気になった方はぜひ調べてください。この歌詞をトータス松本が歌い上げるのもたまらないし、所さんが柔らかく歌うのもたまらない。ただ、今なんとなく思ったことだが。この歌詞の距離感、左談次っぽいなぁ〜。

今回なんとなく所さんについて書いてしまった。みんな大好き所さんだが、別に凄い良い人って訳じゃなく(良い人かもしれないが)、きっと正直な人なんだと思う。現代は馬鹿だとかハゲだとか簡単に言えない時代だ。いや、どんどん言い辛くなっていくだろう。朝のニュースでゆるキャラが″ゆる過ぎる!″と叩かれているのを見て、益々そう感じる。それでも所さんは、曲のなかで言いたいことを気にせず言い続けるのだろう。本当はもの凄い毒を持ってるのに毒を見せ過ぎずくだらない洒落を言う。
やはり、なんとなく左談次っぽいなぁ。

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この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com