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「なむさんだ」 (100)

  毎日暑い、否、暑過ぎる。玄関を開けた瞬間、あまりの熱風に外出を躊躇うほどだ。何故こんなに暑いのか。Google先生に尋ねてみたところ、”地球温暖化とヒートアイランド現象”が原因とのことだ。なるほどと頷いてみたものの、正直調べれば調べるほどちんぷんかんぷんで、わからんちんどもをとっちめちんしたくなるくらいだ。そもそも原因がわかったところで、一個人には何も出来ないのだから、気にしない方が健康的なのだ。無理せずエアコンの効いた部屋で水分を摂りながら、慌てずに一休みするしかない。

「世の中は 起きて箱して(糞して)寝て食って 後は死ぬるを待つばかりなり」

 これは一休宗純の言葉である。筆者としてはそりゃそうだろうけど、としか感想はない。たまにこんなことを現代でも言う人がいるが、とんでもなく浅く感じる。大切なのは誰が言っているかなのだろう。一休宗純の歴史について深い知識を持っていれば、この言葉に意味を見出し、深く感じ感嘆し、涙を流すのかもしれないが、何も知らない場合は何のこっちゃらで河童の屁みたいなものなのだ。しかし本当に影響力のある人が言えばどんな言葉でも深く感じるものなのだろうか。少しだけ煮込んでみたい。

「朝は明るくて夜は暗いと思ってたけど、明るい夜もあるんです」 
ー大谷翔平

どうだろう。とても普通のことなのに、なんか深く感じはしないだろうか。明るい夜の日にスランプの中で努力をする日々みたいなものを感じないだろうか。これは大谷翔平だからで人が違うと。

「朝は明るくて夜は暗いと思ってたけど、明るい夜もあるんです」
 ー小泉進次郎

 急に大事な何かが失われた気がしないだろうか。流石に大谷翔平と比べるのは、小泉進次郎さんに申し訳ないとは思うが、同じ言葉なのに印象が変わるという証明にはなった。いや、本当に申し訳ないが。せっかくなので大谷さんに色々言わせてみよう。

「猫の肉球を触ってたら、ああこんなに柔らかいんだって思ったんです」 ー大谷翔平

「辛いものを食べる時は常に、水は飲まないようにしてます」 
ー大谷翔平

「虎のオシッコってあるでしょ、あれスプレーって言うんですよ」
 ー大谷翔平

「赤って赤いんです、本当に凄く赤い、だから赤なんです」 
ー大谷翔平

 ちょっとやり過ぎた感もあるが、それもまた煮込む日々っぽい。声の大きい人、つまりは影響力のある人の言葉は、何を言っても勝手に受け手が大きく解釈をする。それどころか付け加えて拡散する人もいたり。
 一休さんのアニメを観た子供は、一休さんってかわいいなと思うかもしれないが、実際は恐ろしく偏屈そうな顔をしてたりする。最後に大谷翔平選手に謝罪をしておきたい。

「くだらない検証に巻き込んでしまい、心よりお詫び申し上げます。」  ー立川談吉


この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com