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フィジカル (9)

前回の記事で少しゴルフに触れたので書く。

と、頭の中で文章を考えているうちにゴルフについてと言うより、ゴルフを始める前によく聞いた言葉からの違和感とそこから派生した内容になると思う。

ゴルフに全く興味ない頃、よくゴルフに熱中している人達が
「ほんと、ゴルフは精神力の勝負だよね」

この類の言葉のやりとりをよく耳にした。

18ホールを回るのに5時間ほどかかる長丁場のスポーツだ。
集中力を維持する事や、ミスショットをした時に意識を変えること、ここぞと言う時に決めるショット。などを考えると精神力が必要なのだろう。

と勝手に思っていた。

否。

ゴルフを始めて分かったことは
まず、「体力勝負」である。

歩き回ったり、高低差があったり
それでもまだ我々素人はカートを使えるのだが1日ラウンドすればヘトヘトになる。
特に翌日の疲れは半端ない。

プロはそれを4日間、カートも使わずぶっ続けで行うのである。

もちろんプロの世界であるから、ショット数は少ない。しかし、4日間連続自然の中を歩き続ける、ショットを打つ。体力が必要なのである。

つまり、先日マスターズを制覇した松山英樹選手は、当然常人では計り知れない体力と精神力の持ち主である。

プロの4分の1どころか、カートに乗って楽してる体力基礎ベースがない人達が、精神論を語ってもおかしいんじゃないか??
とゴルフを始めた時に思っていたのである。

精神は肉体に宿る。
という言葉にあるよう、まず肉体ありきであろう。と私は思った。

まず、バテない身体がなければ精神力は発揮できない。

つまり
「ゴルフは精神力の勝負だよね」と言う人は
まず、体力的に負けたことによる精神力の萎えから来る言葉なのではないかと感じた。

体力的に負けた事を精神と勘違いしているのではないかと。(集中力や技術力は別の話である)

もちろん、楽しんでいるなら何も言う事はない。それが何よりである。

今回、書きたくなったのは人間的な構造の部分なのだ。

なんども言うが
きっと体力ありきなのである。体力がなければ良い精神力は発揮できない。

と私は思う。

というのはやはりどの世界にもその世界の体力は必要なのだ。

ゴルフで簡単に言えば身体を動かす、長時間もつ体力である。

我々の世界で言えば「喋る体力」なのである。

前座の頃10分や15分の落語をやり、二ツ目になりたての頃に長い落語を覚えた時にまず喋る体力がないことに驚いた事があった。
25分あたりをすぎると、明らかに息がもたなかったり、妙な疲れを感じた事があった。
(今は大分喋る体力もついている)が、15分以上が許されなかった立場からいきなり長い噺をすると体力がもたないのである。

喋るのも意外と体力を使うのだ。

それが、独演会等で長い噺を覚えていく度に「喋る」体力がついてくる。

結論も言える立場ではないし、好き勝手に自論を書いているだけだが

体力の延長戦上に精神があると私は思う。

つまり、普段の生活においても何か「心」が弱った時は
あるいは良い「精神」を発揮できていいないな。と感じたら
まず、寝ることだ。
寝て、寝て、とにかく寝て基礎体力を回復させて
適度な運動と美味いものを食ってりゃそのうち元気が出てくる。
と思う。

とにかくはまず寝る事だ。
そして寝過ぎた罪悪感を持たないことが何よりも大事である。
繊細な人は寝過ぎた罪悪感を感じてしまう。
しかし、体と脳が睡眠を求めている。そう割り切るしかない。

ここ数日、寝過ぎた自分へ向けての激励の文章でもある。

梅雨生まれであるが梅雨に弱い。

連雀亭の楽屋より。

という、今回のお話。

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この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com