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まさか自分が。 (15)

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8月某日、身体に違和感を感じた。
腰の痛みというか神経痛のような、またはふくらはぎあたりの筋肉痛というか鈍痛。そしてお風呂あがりに悪寒を感じた。

「あっ、これはもしや風邪をひいたかな」

率直な感想であった。

風邪に対しては3年に一度ひくかひかないか。ぐらいの割と丈夫な身体である。(骨折やら胃潰瘍やらはあるが)
いつもの風邪をひくパターンの症状だったので、市販薬を飲んでその日は寝た。

あくる日になり、朝起きると鉛のように重たい身体。
熱を測ると38.7度。
嫌な予感はするが、身体が辛すぎてその日は動けず、とりあえず水分補給して寝る事にした。
次の日も同じような感覚だったがとりあえず診察してもらわなければと、かかりつけの医師の元へ。

隔離状態で診察後、新型コロナウイルス陽性。という事で、自宅療養となった。

ここから約10日間、不安と苦しみの連続である。

まず解熱剤を飲んでも一時熱は下がるが、また上がる。最高で39.4度まであがった。

食欲0、
動く事ができずに保健所から送られてきた血中酸素濃度計も91と低い数値。

普通は入院レベルと言われる数値。

しかし、TVで報道されてる通り入院できないのである。救急車を呼んだとしても病院には運んでもらえない。

とにかく普通なら3日、4日で熱が下がるところ、5日経っても下がらず6日、7日、8日と継続して39度近い熱が続いた。
呼吸も浅く。しんどい。

毎日、かかりつけの医師と電話でやりとりをしていたが、流石に9日を過ぎた時に

「先生、救急車呼びたいです」と相談した。

これが先も書いたが、救急車を呼んだ所で入院できないのである。できたとしてもその可能性は限りなく低い。
まさにTVでやっている状況に自分がいる。

先生に
「とにかく薬は飲んでるんだからあと1日、不安に思わないで様子を見なさい」

と。

次の日、見事に熱が下がった。久しぶりの36.5度。しかしまた上がるかもしれない。

先生に相談すると
「明日も36度、平熱だったらすぐ病院にきてください。検査して治療します」

あくる日、平熱だったので病院へ行くとコロナは陰性。ようやく治療を受けられる事になった。

CTを撮ってみると肺がかなり白くなっている。いわゆるコロナウイルスからの肺炎だ。

毎日、点滴をうちにくるように。とそこから10日間点滴と薬による治療が始まった。

試しに家で喋ってみたが、これが自分かと思うぐらい喋れず息が切れショックであった。

野々村真さんが息が切れ切れで復帰の挨拶をしていたが、誇張なく気持ちがよくわかる。

とにかく私も焦った。
こんなんじゃ仕事ができない。

医師に相談すると
「肺炎なんだから当たり前。8月一杯は仕事は無理。トータル全治1ヶ月〜2ヶ月はかかるよ。焦らず、今は身体の事を考えなさい。」と。

そこからとにかく治療を続けて、感覚で言うと7割.8割喋る感覚も戻ってきた。

9月から徐々に復帰できると思うのに加えて、まず特別公演がある。なんとしても復帰しなければならない。

気をつけようにも、どこでかかるか分からない今のコロナウイルス。

コロナは風邪、と言われているが、現実を伝えると、ただの風邪ではない。
正直、かなりしんどかった。
そして何より1人で自宅療養。不安でたまらなかった。

言い方は悪いかもしれないが、自分が、50代とかなら死んでたかもしれない。

今、思い返すとそれぐらいしんどい思いをした。

小さい時に私は川崎病にかかったがその時の記憶はない。
インフルエンザにも一度だけかかった事はあるが薬はあったし治療ができた。

年齢的にやっとこれから9月にワクチンが打てるという前にまさかの感染。今回、本当に心の底から
自分は死ぬのではないか??と感じた。

とにかく、読者の皆様。
馴れとの闘いでもありますが、気をつけください。

この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com