見出し画像

Arm版 WindowsとAI PC/Copilot+PCについての今後

WindowsもArm版へ完全移行していく?

Arm版WindowsとSnapdragon X シリーズ

「Arm」版Windowsは、従来の「x86」版Windowsとは動作が大きく異なり、消費電力が低くバッテリーの持続時間が長くなるといった利点があります。

MicrosftはArm版Windowsと、付随するアプリ・プログラム開発を積極的に進めています。

そして、2024年6月中旬より新しいArm版CPU(SoC)「Qualcomm Snapdragon X シリーズ」搭載ノートPCが続々リリースされます。

「Snapdragon」はAndroidスマホでは有名なArmベースのCPUです。その高性能モデルがArm版Windowsに搭載されるわけです。

このようにMicrosoftがArm版Windowsに本格的に力を入れているようなので、IntelやAMDも急いでArm CPUを投入するはずです。

グラフィックボードで有名なNVIDIAもMediaTekと共同で新型のSoCを開発しているらしいです。

Arm版Windowsの注意点

Arm版Windowsに対応していない大量のアプリやプログラムについては、エミュレーション機能によって古いアプリも動作させることになります。

ただ、現状でArm版Windowsでは対応できないプログラムがあるかもしれないので、安定した動作を重視するなら「Snapdragon Xシリーズ」搭載のArm版Windows PCは少し見守るのが無難です。

AI PC・Copilot+ PCとは?

ARM版Windowsと同じくややこしいイメージのあるAI PCについても解説します。

AI PCというのは一般用語で、AMD、Intel、Microsoftそれぞれの定義があるようです。どれも一致しているのは「NPU」搭載であることです。

NPU(Neural Processing Unit)とは、AIのローカル処理に特化したプロセッサーで、CPU・GPUと別に搭載されます。

「Copilot+PC」はMicrosoftの戦略の一つ

「Copilot+PC」とは、Microsoftが独自に定義した「より新しいユーザー体験ができるAI PC」だそうで、今後専用のアプリが登場していきます。

Copilot+PCに対応するモデルをPCメーカーが発売すると、Microsoftからの強いサポートが受けられるという話です。(ざっくり言えば)

■Microsoftの「Copilot+PC」の要件

  1. Microsoftが独自に承認したSoCかつ40TOPS以上のNPUを搭載

  2. メインメモリ 16GB以上(DDR5/LPDDR5)

  3. ストレージ 256GB以上(SSDかUFS)

現状では40TOPS以上のNPU搭載チップは「Qualcomm Snapdragon X Elite/Plus」だけです。

そのため、2024年5月に発表されたCopilot+PCはすべてQualcomm製SoCを採用しています。

2024年後半以降にはIntelとAMDもこの条件を満たすCPUを登場させるようです。それらは、ARMベースではなく従来のx86/x64ベースです。

今出ているAI PCはどうなの?

MicrosoftのCopilot+ PCの要件から行くと、今発売されているAI PCたちはどうなるのでしょうか?

例えば、Ryzen 7040/8040シリーズや、現行のCore Ultraシリーズは演算能力で基準を満たしません。(今までの用途では全く問題なく十分高速なCPUではあるのにね)

これらのCPUでは「Windows Copilot Runtime」を使うAIアプリケーション(Copilot+PC向けアプリ)はそのままでは利用できないようです。

つまり、Microsoftが掲げたCopilot+PCというハードルはかなり高いことがわかります。
※今後、Copilot+PCでなくても機能自体は使えるようなアップデートの可能性はあります。

純粋な演算能力で考える

  • Snapdragon X Eliteの演算能力は45TOPS

  • NVIDIAのGPUの演算能力は100~1,300TOPS

NVIDIAのGPU(RTXシリーズ)には「TensorCore」という、NPUと同じようなコアが搭載されており、性能は圧倒的に高いです。

しかし、このような性能を持つPCであっても「Copilot+PC」には含まれないようです。(※2024年6月時点)

これを考えるとMicrosoftが純粋にPCの演算能力だけで「Copilot+PC」認定を行ってはいないことがわかります。

さらに、現状ではCopilot+PCもMicrosoftが定めたAI PCの一つの基準に過ぎません。

AI PCはまだまだ発展途上で各社の名称が混在しています。Arm版Windowsについてもそうですが、AI PCの今後もまだ不透明な部分が多いです。

AI PCについて思うこと

個人的には現時点でAI PC(Copilot+PC)で可能になる機能はそこまで必要には感じません。(Recall・Microsoft 365 Copilot・Team Copilotなど)

実際、これまでクラウド上で行っていた処理をローカルで行えるメリットは当然あると思います。

ただ、実際に必要かどうかで考えた場合、それぞれの環境下で違った結論が出るでしょう。

すでに生成AIを活用している場合にはより強力なマシンが欲しい方も多いはずです。

逆に、無駄にAIが動いてPCのリソースを食うくらいなら、機能自体不要だという意見もあるかもしれません。

そして、ライトユーザーからすれば、AIによりPCで行える作業が多少便利になるからといって、ハイエンドクラスのPCを買う必要は感じないわけです。

Windows 11発表時に、対応PCの足切り(Intel第8世代・Ryzen第2世代以降)もなかなかの反響がありました。

そこにきて、Arm版WindowsとCopilot+PCという新たな風をMicrosoftが吹かせています。

商業的にMicrosoftが新しいPCを買ってもらうために、魅力的と思えるような機能としてAIを推してくるのはわかります。

ただ、消費者側として不要な機能を動かすために、高いスペックが求められているとすれば、それこそ不要と感じる人もいるでしょう。

個人的にはArm版Windowsが普及してくれることは、省電力でハイスペックなモデルが増える点で歓迎しています。

それに絡めて高度なAI機能やアプリが導入され、強引に高いスペックが必要であるとするのは、まあ…上手い商売といえるのでしょうね。

コストパフォーマンスを求めてきた私の意見としてはAI PCの機能がどこまで魅力的で実用的なのか、それに見合った価格でPCが出回るかに注目していきます。

最後の方は個人的見解ですので読み流していただけると助かります。お読みいただきありがとうございました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?