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総合学習でSDGsの概念を取り入れたい教員の皆様へ

前回は「総合学習に食品ロス問題を取り入れたい教員の皆様へ」というテーマで書かせていただきました。

今回は似たような話ですが、そもそも巷で出てくるSDGsってのはどういう事だ?というのを授業で生徒さんにどう考えてもらうかがテーマです。
SDGsはどう解釈してるかだけでかなり方向性が変わってしまう「トンデモテーマ」だと思っています。
表面的にSDGsを掲げたりしてなんとなく良い事らしいけど、実際何がどうなのかわからないまま有耶無耶になるリスクがあるので、授業で取り扱うならSDGsをどう解釈するか教員の皆様自身も柱があると良いかもしれません。

では、プラスフードが解釈するSDGsとは?

様々な場面でよく言葉にする「腹八分の社会」だと思っています。
欲張り過ぎない、足るを知る、そんな腹八分の関係性が大事なのかなと。
SDGsでは17の目標があるので猶更テーマが分散しているように見えますが
大体の事は片方の立場が欲望のままにフルスロットルな事で発生する社会問題である事があります。
なので多少不便だけどちょっと我慢する事で地球上の皆が最終的にほどほど満足できる状態にしようよ、という事だと思っています。

食糧問題でいけば今後不足が予測されるので昆虫食を推進しましょう!というのがありますが、今の世代が欲望のままに腹十分まで食べ過ぎずに腹八分で満足していれば、皆さんの子孫は昆虫食のお世話にならずに済むかもしれない。
でもこのエピソードをそのまま生徒さんに話しても中々響きづらいかもしれません。
「いや、私は食べたい物を食べます!我慢なんて嫌です。未来の事は未来の世代が考えればいい話だから!」という生徒さんがいても、それは間違った意見ではありません。
総合学習ではこういった意見も尊重しながら進める必要性がありますよね。

身近に考えるテーマとして「フェアトレードチョコ」

自分がこのテーマを考えてもらう時に使うエピソードがフェアトレードチョコです。
「学生の皆さん、ブラック企業では働きたくないですよね?安い賃金で商品作らされて給料あがらないって嫌ですよね?」
「実はフェアトレードチョコというのはそんな働く人達がある程度の水準でちゃんとしたお給料がもらえるための価格設定をされたチョコなんです」

こう話すと学生さんは巷で目にする「ブラック企業」は良くないっていう方向になります。

その上で「しかし、フェアトレードチョコは1枚千円とかの板チョコになります。皆さんお店で買うチョコがそのようになったら買います?」
と投げかけると途端にブラック企業はダメだ!という考えから様々な理由から自分はこういう理由があるから従来通りの安いチョコを買いたい、という方向になります。
このブレ幅が総合学習の間で大事な所だと思います。
どちらかに肩入れするのではなく双方の立場や思惑を理解してから最終的な答えを探し出す事が生徒それぞれの回答個性を生むと思います。

討論やアイディアを引き出す質問設定

私が出前授業で行ったのはここから「では皆さん、この簡単には売れないフェアトレードチョコを売る店員さんだったら、どうしますか?」という質問設定をしました。

ここからまずは「価格設定の意味を説明しながら売っていく」というジャンルのアイディアが主に優等生グループから出てくるかとは思います。
この授業やってて面白かったのが昆虫食の話で私は我慢したくないと言った生徒さんが「価格を一般メーカーに近づけれるよう生産や流通の仕組みを見直す」という意見を出した時です。

こういう優等生的なアイディアとは一線を画すような発想力、素晴らしいと思います。こういうのが突破口になるとクラスの発想力に自由度が出てきて生徒さんから少しずつ幅広いアイディアが出てくるようになってきます。

「お金持ちの人達に買って貰えるような店づくりにする」
「公務員のボーナスの一部として現物支給制にする」
「全ての経営者は一定量のフェアトレード商品を買わないといけない法律を制定する」

内心『おいおいおい、それはやり過ぎでしょう(笑)』という意見が出てくる事もあって最後のまとめに苦労しそうです。
意見が固まりそうなら店員さん目線からそのお店の社長目線で考えるとか教員側が少し誘導してあげるのも良いと思います。

最後SDGsに関連づけて授業を終える

このまま言うだけではまとまらなくて終わりなので、出てきた意見をまずは一覧にした状態で最後のまとめに入ります。

「では、これらの意見はSDGsの17のテーマのどれに当てはまりそうですか?少しでも関連あるかもと思ったらマークしていきましょう」という課題設定をする事で個人個人の理解度を確認していきます。

例えば、ただカカオを生産するだけじゃなくて質の良いチョコを作る製造工場の機械操作にはテーマ4の「質の高い教育をみんなに」も関係あるに違いない!といったようにです。
こうしてフェアトレードチョコをどう工夫して販売するかによって生徒一人一人の答えが実はSDGsの色々なテーマに関連していたんだね、というところが良い着地点ではないでしょうか。

総論で考えるとブラック企業はNGとか社会問題は問題だ、という結論になりがちですが、当事者として具体的に考えると色々な事がある気づきになるのと、それらが複合的にSDGsに関連している事を知る事で理解度を高めてくれると期待しております。

プラスフードでフェアトレードチョコを買える店

チョコは主に冬の販売になりますが2023年2月現在でプラスフード加盟店さんでフェアトレードチョコを買えるのは「みんたる」さんと「エシカルタイム」さんです。
生徒さんはそもそもフェアトレードチョコ自体を見た事も聞いた事も無いというのがあるので、このお店さんの存在を知ってみるというのも体験としては良いかと思います。


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