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「越冬つばめ」は本当にいるのか?

朝起きたときとかに「なぜこんな曲が…」と思う曲がアタマの中でヘビロテしてるときありませんか。どうも中の人です。
中の人めっちゃあります。今日は森昌子さんの「越冬つばめ」でした。

なんでやねん。
わたし演歌苦手やねんで。
しかも腹痛(察して)で七転八倒し二日間お休みしたその休み明けの朝から越冬つばめ。

娘盛りを無駄にすーるなと♪

ちゃんとAメロから再生してきやがります。くそう。
原因はわかっとる。両親が見てる演歌番組や。
なんで演歌ってこう後ろ向きなんでしょう。

なきがらになるーなら そーれもいいー♪

まだ死にたくないっす。なんならマツケンサンバでも踊りたい。
基本、覚えていなくてもいいことが蓄積されていくわたしの脳の仕組み自体がなにかおかしいのかもしれません。ミミズの刺し身とか。
あ、ミミズの件については別途お話します。ヒヒヒ。

まあそんなことはともかくですね、この曲の越冬つばめはおそらく本州に居残ってしまったつばめさんのことだと思われます。
普通のつばめさんは、東南アジア方面まで旅をして、そこで冬越しをし、春になったら元気に日本へやってきて繁殖するというライフスタイルを貫いています。

しかし、うっかり居残っちゃったつばめさんがいます。

あったかい宮崎県や鹿児島県など。
住まいが関東なので、冬の感じがどうなのかわかりかねるんですが、数日旅行で鹿児島に行ったときは、晴れの日などはコートいらんのでびっくりしましたね。
コートいらんということは虫さんもそれなりにいると。虫さんはつばめさんの重要なゴハン。なので、長旅するのがめんどくさくなっちゃったつばめさんなのかどうかはわかりませんが、日本に居残っちゃってるつばめさんは実際にいる!!!のです。

ですが演歌の「越冬つばめ」は、どうも鹿児島などのポカポカした南国のイメージではない。

ひゅーるりーひゅーるりーららぁー♪

たぶんつばめさんの鳴き声と木枯らしをかけてますね。
そんな寒いとこで越冬してるつばめさんいるわけ

い た


浜松にいたという情報を見かけました。

毎年300羽位でしたが、37年には約1,000羽が越冬しました。
昼間は浜名湖沿岸地域で餌を求め、夜はこの建物の一階に張られた電線に
とまって寒さをしのぎました。

https://yutoasobitai.hamazo.tv/e9129818.html

昭和のはじめ頃から昭和58年頃まで越冬つばめがいたそうです。
なんでまた浜松に…まあ、静岡はミカン栽培なども盛んですし、もしかしたら関東よりはあったかいのか?

で、肝心の森昌子さんの「越冬つばめ」のリリースは、昭和58年。
作詞はそれより前でしょう。
ギリッギリで越冬つばめさんが存在していたようです!

いや、ぶっちゃけね、歌詞の世界のフィクションだと思っていたんですよ、越冬つばめなんて。自ら寒いところにとどまって、少ないエサでじっと耐えてるストイックなつばめさんがいるとは思わないじゃないですか。
でも、いたんですねぇ。
調べてみるもんだ。

しかし「越冬つばめ」がリリースされヒットした昭和58年から姿を消してしまった越冬つばめ。何でですかね。
そもそもつばめさんの寿命って何年ぐらいなんでしょう。
ヨウムさんとかコンゴウインコさんなんかは平気で50〜60年生きますけども。つばめさんより小さい文鳥さんも7〜8年は生きます。

しかし、とても悲しい事実が判明しました。

ツバメは自然環境では、平均して2から3年程度しか生きることができないと言われています。 これはツバメには天敵が多く、厳しい生存競争にさらされており、多くの個体が命を落としてしまうためです。 子育て中にも巣をヘビやカラスに襲われ命を落としてしまうヒナが多くいます。

https://www.city.matsumoto.nagano.jp/soshiki/51/100097.html

ハムスター並みの短さでした…
てことはだ

「つばめさんはね~、去年の巣を覚えていて戻ってくるんだよ〜」

と大人が言ってたのはほぼウソということになります…
戻ってこれるつばめさんはごくわずか。下手すると一家全滅ということもありうる、と…なんて悲しいんだ。

ってことは越冬つばめって何なんでしょうね。
日本が好きすぎて、寒くて凍死してしまうリスクを犯しても、餌が少ない時期のカラスに狙われても残ってしまったんでしょうか。
なんでも最盛期には1000羽も越冬つばめがいたそうですし。

歌詞解説サイトをいくつか見ましたけど、共通しているのは「男女の破滅」
ひぃぃ。

リリースと同じ昭和58年を境に浜松の越冬つばめがいなくなってしまったのは、何か意味があるんでしょうかね。
歌のヒットにつられてつばめさんたちの聖地巡礼が跡を絶たなくなったというニュースは出てこなかったので、多分偶然「やめようぜ日本で冬越すの…」とつばめさんたちが決意したんでしょう。つばめ語わかんないから、あくまで想像ですけど。

ちなみに地球温暖化に従い、日本の冬は暖かくなってきている傾向があるようです。つまり、越冬つばめが越冬を始めた昭和初期は今よりもっと寒かったはず。作家の池波正太郎氏が「あの頃の寒さは今の比ではなかった」とエッセイに書き残してますし。

なんでそんな寒いのに、越冬しちゃう気になったんだろう。インタビューしたいですが、寿命が2〜3年じゃなぁ。
やっぱり南国に行くのがめんどくさかったのか、それとも浜松湖に餌の虫が豊富だったからなのか、少なくとも天敵のひとつのヘビが冬眠しちゃうからなのか。

うーん、南国への長旅に耐えられない弱い個体群だったのかも、という予想もできますが、果たして温かい地方に行くまでに使う体力と、厳しい日本の冬に耐える体力と比較したら…うーんどっちがキツイですかつばめさん。
または、南に行くための脳内方向磁石が何らかの事情で壊れちゃってる一群だったのか。いや、でもその割に最高で1000羽いたそうだしな。

あと、昭和58年以降ぱったりいなくなったというのも謎。
ちなみに「越冬つばめ」のリリースは8月の真夏でした。
森昌子さんの熱唱を聴いて、「俺たちもあんなやべぇ結末を迎えるニンゲンにはなりたくねぇよな」「やっぱ南行こうぜ」「そうしよう」になったのか…

宮崎の越冬つばめについては、どうも夏にいたつばめではなく、もっと北の方から飛んできた可能性が高いのではないか、という専門家の意見もあります。

もっと北の方の日本国内のどこかで、繁殖したつばめが、秋にになって、南の方に出て下ってはきてたけども、まあ宮崎は暖かいし、しかもえさががありそうだし、宮崎で越冬してもいいかなあと。これはツバメに聞かないとわかりませんけども、そんな感じで宮崎に残って、越冬してるんじゃないか、というふうに思います。

https://www.nhk.or.jp/miyazaki/lreport/article/003/43/

ここで出ましたね、ものぐさつばめ説。
まあ、浜松の越冬つばめの謎にも近づいたかもしれません。
北海道で繁殖する「ショウドウツバメ」という種類がいるんですが、そのつばめなら「なんかここ意外とあったかいから、ここでいいか」になっちゃった可能性が…?
いや、もう何十年も昔にいなくなっちゃったんだから、種類の確認とか記録に残ってるんでしょうかね…いや、無理そうだな…

わたしの追跡ではここが限界。
多分、突っ込んで調べた論文とか、どっかに転がってそうな気もするんですけど…

ちなみに上の引用元では、越冬つばめの北限はやはり浜松市の浜名湖だと書かれています。なかなか面白いので、読んでみてください。

しかし…越冬つばめの脳内リピートが消えないよう(泣)

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