見出し画像

殺意のカット盤

こんばんは!

昔のレコードを見ていると、たまにジャケットの角がバッサリ切られているレコードや、ジャケットに丸い穴が空いたレコードに出会うことがありますよね?今回はそんなカット盤について見ていきます!

まずカット盤とは?
レーベルが不良在庫を抱えた際にそのレコードを処分する時、権利関係の問題で一般流通を取りやめた時など、その大量のレコードのジャケットにわざと穴を開けたり傷を付けたりして、不良品扱いで販売店に安く卸(おろ)す処分手法により生まれたもの。
要は不良在庫のレコードを傷物にして、一般流通の卸値よりも安く提供し、専門店や量販店で中古扱いで捌(さば)いてもらうというもの。

カット盤にも種類があるので実際の画像で見ていきましょう!

まずは基本となるコーナーカットから。
The Notorious B.I.G.のデビュー作となるBIG名義のParty and Bullshitはカット盤が非常に多いことで有名。

Party and Bullshit

左上にカットあり。


ジャケット裏面

基本、バーコードを潰して、バーコードスキャンを出来なくするために行われます。画像のは全然バーコードスキャン出来ますが。


カット無しはレア

オリジナルUSプレッシングでカット無しのレコードは非常に貴重です。精巧なブートレグプレッシングもあるので注意が必要です!
逆に言えばカットされた再発盤は存在しないので、カット盤ならオリジナルUSプレッシングです。


次に登場するのはこちら!

Halftime

Nasのデビュー作、Nasty Nas名義のHalftimeもコーナーカットされたカット盤が非常に多いです。カット盤も持っているのですが、見当たらないのでとりあえず画像はカット無し盤のです。

1997年くらいですかね?町田のFreaksという店で通販リストを取り寄せてHip Hop Classicsのレコードを購入していたんですが、その時の購入方法というのが面白いやり方だったので書いておきます。
まずはリストがFaxか郵送で自宅に送られて来て、欲しいレコードにいくら出せるか入札金額をリストに直接書き入れて、FreaksにFaxします。
1番高額入札者が購入することが出来、落札出来ると着払いでレコードが届くというオークション形式でした。
で、僕は複数枚ベットして今か今かと届くのを待っていると、送られて来たのは6千円もベットしたHalftimeのみ。他の欲しかったレコードは何も届かず、Halftimeのみが届いたものの、その盤がカット盤だったので膝から崩れ落ちて失禁しながら失神して泣きました。
という忌(い)まわしき思い出のカット盤でしたが、今は自宅内で行方不明です。カット盤の一番の思い出です。


気を取り直して次のレコードに!

Flow Joe

Fat Joeのデビューシングルもコーナーカット盤が非常に多いです。
Biggieといい、Nasといい、Fat Joeといい、デビューシングルのレコードが想定以下の売れ行きだったため、カット盤として処分された苦い過去があるということですね!

Flow Joeの裏面

やはりFlow Joeのジャケットのコーナーカットもバーコードが切り取られていますね。


こちらは殺意の湧くコーナーカット。

Rabbit Stew

コーナーカットにもカットの度合いの違いがあり、大きな面積でコーナーカットされている盤は激しい憎(にく)しみの対象になります。
Raw BreedのGodfather Donが手がけた名作シングルもコーナーカットの面積が大きく、届いた時には白目むいて脱糞、食事も喉を通らず3日ほど寝込みました。その後、怒りに満ち溢れた僕は、アメリカまで行って出品者を金属バットでボコって来ました。


シールドではあるんですが...泣

このレコードはDiscogsでシールドコンディションで購入したのですが、確かにシールドはシールドだけど、ここまで大きくカットされてるならちゃんと状態説明に書いてほしいですよね...。
もはやシールド盤という利点すら無に帰してしまうという極悪っぷり。


さらに続いては違うパターンのカット盤を紹介します!

パンチホール

これもよく見るタイプのカット盤です。ジャケットに丸い穴が空いていますね。パンチホールと呼ばれます。
レコードを何枚も積み上げてから、一気に円筒の棒状器具で穴を開けていたか、もしくは穴を開けるホッチキスみたいな形状の器具でパンチホールを開けていたと記憶していますが、コーナーカットよりも見た目が悪くないので、だいぶマシなカット方法です。


ジャケット裏面

やはりここでもバーコードをぶち抜いてますね!


一見すると何のカットもされていないレコードですが...

Poppa Large

Ultramagnetic M.C.'sの名作シングル、Poppa Largeですが、よく見ると!

ジャケット表面

ジャケットの左上角に何やら小さな穴が。


ジャケット裏面

これも実はカット盤の一種で、千枚通しでバーコードの部分を突き刺すだけのシンプルなカット盤。これはジャケットにもほぼ影響ないので、全く気にならないカット方法ですね。


こちらも一見すると分からないカット方法。

Nitty Gritty

KMDの歴史的名曲、Plumskinzzを収録したこちらのシングル盤もカット盤なんです。

切符カット

電車の切符をカットする器具を使って、端の部分を少しだけカット。これも全く気にならないカット方法です。




おまけ①

Halftimeの刻印

Nas / Halftimeのオリジナル盤の見分け方は、MASTERDISKの刻印があるかどうかです。オリジナルUSプレッシングにはこの刻印があります!
→関東の凄腕堀師の大塚さんから情報があり、ジャケ無しでMASTERDISK刻印アリの再発盤もあるようです!ますます見分けが難しくなりましたね...


おまけ②

コースターの凸凹

BIG/ Party and BullshitのオリジナルUSプレッシングは矢印のリングの段差がここにあります。精巧なブート盤もあるので必ずではないかもしれませんが、基本的にここで見分けることが出来ると思います。

色味

ジャケットの色味も違います。手前がオリジナルUSプレッシング。後ろ手がクソブート盤。


Party and Bullshit

2種類あるうちのこちらのプロモーション盤には、この盤だけとなるヴァージョンを収録。これもクソブート盤が大量に存在するので注意が必要です!見分け方も画像で見るだけでは分からないほどクソブート盤は精巧で、買う時には注意が必要です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?