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それは確かに愛でした


このnoteは恋人とお別れをしてすぐの頃に書き出して、だけどなかなか出せなくて1ヶ月くらい寝かせてしまったものです。

私の今の気持ちはこの頃とはまた少し違うけれど、これを書いた私も確かに居るから、ここに残しておこうと思います。

不格好で拙い文章だとは思いますが、良かったら最後までお付き合い下さい。





















「別れてください」
ください、と打ち込む前に涙が溢れた。
私たちの恋はどうやら奇跡でも運命でもなかったらしく、夏のはじまりに呆気なく終わりを迎えた。

自分のことをもう嫌いになりたくない。
そう綴られた文章を何度も読み返して、誰が悪いのだろうかと犯人探しをして、誰も悪くなかったことに気がついて悲しくなる。
私が私である限り、あなたとは分かり合えない。そんな残酷な現実ばかりを突き付けられて、残された選択肢にただ絶望した。

あなたには、あなたのことを愛してほしい。
結局私に残されたあなたへの愛はそういう形で、
そういう形だったから終わるしかなかった。

ただいつも、笑って生きていてほしかった。

あなたが他の誰かと楽しげに話すのを、少し寂しい気持ちになりながら見ていた。あなたは私だけのあなたではないことを、ほんの少しだけ寂しく思っていた。だけどそれを悪い事だとは思っていなかったし、ただ本当に幸せに暮らしてほしい、贅沢を言うのならその隣には私が恋人という形でそばに居たいという、本当にそれだけ。
たくさんわがままを言ったけれど、私の奥底にあったあなたへの感情は結局そういうものだった。

自分で言うのもなんだけれど、
とびきりの愛だった。

だから、別れてください、と打ちながら、ああ本当にあなたは馬鹿だなと思った。
私みたいに可愛くて一途で、どれだけ苦しくてもただ好きな人だというそれだけで自分の信念をいくつも曲げて一緒にいることを選んでいた私に、こうも簡単にあなたは別れの選択肢を突き付けて、最後の決断を私にさせる。
別に愛を返してほしくて愛していたわけじゃないけれど、「君を愛せない」と遠回しに言われるのはどうしたって苦しかった。

この先あなたの前には、あなたがあなたを好きなままであなたと一緒にいられる人がきっと現れると思う。だけど、私ほどあなたを愛せる人はもうこの先絶対に現れないよ。
そう断言出来るくらい、大きな愛を注いでた。
私を手放すなんて大馬鹿者だね。
こんなにも可愛くて、こんなにもあなたを好きなのに、私が望んだ形のあなたからの愛が返ってくることはとうとうなかった。

愛は、凶器にもなり得るし狂気にもなり得る。
やさしく、あたたかく、やわらかな愛など、夢物語のような気さえしてくる。
それくらい、私は愛に惑わされ、愛に傷つけられてきた。

それでも人を愛したいと願う、愛されたいと願う。私はどうしようもない人間だと思う。

あなたに繋がれていた手を、あなたに促され、自ら手放すことの痛みを、あなたは想像出来たのだろうか。あなたは「私の愛を信じて」といつも言っていたけれど、私の愛をどれほど信じてくれていたのだろうか。思い返すと、ろくでもないような人だった気もする。

それでも、そんなろくでもないところすら愛していた。ごめんなさいと泣かれた時、理不尽に傷つけられた時、決断を全て委ねられた時。自分の中から湧き出る怒りや悲しみをすべて飲み込み、さいごまであなたを傷つける言葉を吐き出さず、綺麗な言葉で終わらせた。
それがどれほどの愛か知らないまま私を手放すことになったあなたを、心底馬鹿だと思う。

奇跡のような出会い方をした。
ひと目見て恋に落ちて、振り向いてほしくてひたすらに声をかけ続けた。全力で、あなたが好きだと伝えていた。あなたの横顔を、誰より何より愛おしいと思った。あなたと2人きりになれた時、時間が止まればいいと本気で思った。

ねえ、あなたとの出会いはさ。
多分奇跡でも運命でもなんでもなくて、誰もが経験するようなありふれた恋愛だった。

だけどそれでも、そんなありふれた恋愛をあなたとふたりで経験できたことを幸せに思うよ。

あなたの愛も私の愛も、お互いが望んだ形ではなくて、お世辞にも心地よいものではなくて、それでも不器用に、下手くそに、大切にしていたね。

愛していました。
それは確かに、愛でした。

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