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劇団きのこ牛乳『鬼跡-キセキ-』稽古場日誌 後日譚

劇団きのこ牛乳 第13本目公演
『鬼跡-キセキ-』稽古場日誌
「You can't ruin a stew」
後日譚 縁(えにし)

劇団きのこ牛乳第13本目公演
『鬼跡-キセキ-』
作演出・根間健太郎(劇団Rubbish)

全日程全公演終了致しました。
沢山のお客様にお越しお越し頂きました。
全てのお客様に、心より御礼申し上げます。
また、お越し頂けなくてもお気に止めて頂いた皆様にも御礼申し上げます。

劇団きのこ牛乳主催・柏木役千草さん、制作真柄さん
作演出・根間健太郎さん(川端役ケンタウロス骨さん)
黒崎役・加藤優季さん
霧島役・シゲキマナミさん
鳴海役・こまつざきさちこさん
白水役・知久貴大さん
初顔合わせから千秋楽まで、本当にお世話になりました。誠にありがとうございました。

『鬼跡-キセキ-』への出演機会を頂いた千草さん根間さんには、感謝しかございません。
この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
ありがとうございました。

終わり、翌日から2日間お仕事を頂き、先程帰って来てひと段落、ようやくひと段落出来ました。
今現在、『鬼跡-キセキ-』への振り返りは全く出来ていません。
ですが、今の想いを綴ります。

会話劇でした。元々はそちらのフィールドでの活動が多かったので、復活してまた会話劇が出来るコトに心底嬉しかったのを今でも覚えています。
私の役、星野トオルはストーリーの中核、ストーリーテラーでもあり、仕事場での1番の上司、犯人に翻弄され人を殺める、など様々な顔を持つ役柄でした。
それを時に言葉で、会話で、表情で、独白でストーリーを進めていきました。
出番もセリフも多く、嬉しさの反面、プレッシャーを感じていたのも事実です。
ですが、作演出の根間健太郎さんには全般の信頼をおいていたので、そこまでの不安はありませんでした。この人に預ければ、必ず上手くいくと。

ですが、稽古を重ねれば重ねるほど、重なる不安。
序盤は台本が70%の完成で、ラストが分からないコトもあり、最後を考えず、その時その時の稽古を真剣にこなしていきましたが、ラストまで出来上がり読んだ時に、自分の役が出来上がるのか?と疑問が湧きました。
ラストに繋がるまでの役がその時はまだ未完成でした。その繋がりを理解すると、ラストへの繋がりの難しさが特段あり、今の役では技術が未熟で細かな所の作り方が甘いコトもわかり、少し焦りました。そしてやっぱり思った「怖さ」。
本来なら劇団さんが指定した稽古日で作り上げるのが当たり前なのですが、不安から根間さんに相談させてもらって2日稽古を追加してもらいました。

難しい文体の台本に苦戦し、星野の細かに変わる心情に苦労し、言葉を会話を伝えるコトに悩み、1人では出来ないコトにも1人で足掻き、気がついたら小屋入りしていました。

そして、小屋入りして改めて思い知ったのは、お客様との距離の近さ。そして、客席が4方向にあり、何処からも見られるコト。
全身どこを見られているか分からない。
表情も、指先の動きも、姿勢も震えも呼吸も全て見られる。
集中し直しました。

千秋楽までの1回1回の公演での集中は並々ならぬものでした。
小さな劇場での緊張感とは似て非なる、新たな感覚でした。
どんなに緊張しても、分かる伝わるお客様の集中、視線、そして集中の細かな途切れや溜息ににた深い息。
1つ1つのリアクションに気を取られた訳ではありませんが、リアルタイムに感じるリアクションを受けての集中は、48の体力を削いでいきました。6公演以上に感じた本番でした。

本当に大変な舞台でしたが、色々なコトを感じました。伝わりました。学びました。経験しました。
年齢は関係ない、いくらでも吸収出来るコトは山ほどある。と、痛感しました。
この経験は、
この劇団だったから、
この作品だったから、
この演出家だったから、
この座組だっから、
得れたモノだと思います。

苦しみを乗り越えて、楽しく出来たか、と言われれば答えに困りますが、貴重な時間、経験を得れたと、これだけは自信を持って答えられます。
これはもちろん、1人で得たものではありません。
「鬼跡-キセキ-」の全関係者から貰ったものです。芝居は、1人では出来ません。関わってくれた皆様からの宝物だと思ってます。

そして今率直に思うコト。

もっともっと、もまれたい。
もっともっと、経験したい。
もっともっと、表現したい。

そしてそれを沢山の人にお返ししたい。
楽しんでもらうだけじゃなく、考えてもらったり、語ってもらったり、泣いてもらったり、怒ってもらったり。
感情を揺らすコトでお返ししたい。

最後の言葉もやっぱりこの言葉しか出てこないや。

皆さん、ありがとうございました。

「You can't ruin a stew」
稽古場日誌のタイトル、シチューに失敗なしという意味でしたが、失敗が無かったとは言えませんでした。
ですが、この失敗を活かしてこれからも、明日も、未来も、進んでやらぁ。

2019年 7月30日 梅﨑信一

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