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第5部 メタバース時代の存在論:「実存」から「複存」へ(3)

3.VR(XR)からメタバースへ(3):「メタ」から「パタ」へ

その意味ではSF自体がXSFであるといういい方もできよう。これまでにも何度も論じてきたように、SFは確かに「科学的」でなければいけない。しかし同時にSFはある意味「なんでもあり」なのである。確かに「科学的」と相対する(あいたいする)概念は一般的に考えれば「非科学的」であろう。しかしこの両者はあくまで対立概念であり、決してどちらが上位概念でどちらが下位概念かというような上下関係や包括関係=メタ関係ではない。その意味では「科学的」=「形而下的」=「フィジック」と捉えた場合、それに相対する概念は「非科学的」=「形而上的」=「メタフィジック」と言うよりも(そのような言葉を使うよりも)、メイヤスーが言うように「科学・外」=「エクストロ・サイエンス」=「パタフィジック」と言ったほうがより適切であろう。さらに言えば、それらは相対すると同時に、お互いにお互いを必要としているような関係である。逆説的ではあるが「科学的」であることにこだわる個々のSF作品が集まることにより「科学・外」をも含んだSFというジャンル全体が作られるのであるし、反対に「科学・外」をも含んだSFというジャンルがあるからこそ、個々の作品もSFとして位置づけられるのである。

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主に2022年から2023年3月頃までに書いたSF、アニメ、アバター(Vチューバー)、VR、メタバースについての論考をまとめました。古くな…

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