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おたぬき親子

帰国すると通う神社がいくつかあります。柳森神社もその中の一つ。

柳森神社は江戸三森と呼ばれる神社の一つで秋葉原にあります。境内は狭いのですがまるでワンダーランドの如く小さい境内社やおもしろたぬき像とおたぬきさんのお社、富士塚の跡や力石などがあって、しかもアイドル的存在のくーちゃんという有名猫ちゃんがお出迎えしてくれます。

初めて柳森神社を訪れた時、境内社を見てみよ〜!と歩みを進めると、何やら強烈な視線を感じたのですな。こ…これは御神気…!?ここは割とごちゃごちゃ(失礼)しているのでパッと気が付かなったのですが、よくよく見ると小さいお社の前に鎮座するのは

過去の写真フォルダーを漁ったらその時の写真が出てきました!

くーちゃん

これこれ!この時ほんとびっくりした〜かわいい神様デター!と思いました。

また、おたぬきさんとして親しまれている、玉の輿で有名な桂昌院にあやかったお社もあります。他を抜くということでたぬきだそうですが、この柳森神社の授与品がとても可愛いんですな。現在も今戸焼きなのかわかりませんが、親子のおたぬき像が授与品です。

SNS情報では現在は入手が難しいとの事だったのですが、たまたま豆まきの日に柳森神社を訪れて準備作業している方に聞いたら宮司さんの家(?本殿の裏手にある家屋)に話を通してくださって、拝受することができました

ただこのたぬ親子を頂いたのはいつ頃だったろうか…2020年だったかな?

青空文庫のサイトに「江戸の玩具」という書籍が公開されていて、そこにもこの親子の記述があります。

柳原の福寿狸ふくじゅだぬき 柳森神社 土製の小さき大小の狸を出す。神田柳原和泉いずみ橋の西、七百二本たつや春青柳あおやぎの梢こずえより湧わく、この川の流れの岸に今鎮座ちんざします稲荷いなりの社に、同社する狸の土製守りは、この柳原にほど近きお玉が池に住みし狸にて、親子なる由、ふと境内にうつされたる也。(お玉が池の辺あたり開け住みうかりければやといふ。)親は寿を、子は福をさづけんと託宣たくせんありしよりその名ありとなん。

 この狸の形せる物は、玩具といはんより巳みの小判、蘇民将来そみんしょうらいの類にて神守りの一つなりと思へり。      

江戸の玩具(青空文庫

ちなみに、このたぬ親子は引用に書いてあるとおり、岩本町付近にかつてあったお玉ヶ池という池のほとりに住んでいたそうなんです。

私はですね、たまたま馬喰町の方に滞在していた時に毎日神田明神まで歩いて通っていたのです。その時に裏道に鳥居があるのが白目にチラッと見えて、「おーい!おーい!」みたいにすごい主張してるように思えて妙に気になって見に行ったら、偶然にもそのたぬ親子のいたというお玉が池跡地だったのです。本当に偶然にも見つけたのです。何かの因果でしょうか。もしかして私の前世はこの親子の仲間たぬきだったとか…?

そこがこの岩本町某所↓

繁盛お玉稲荷大明神
お玉が池跡の標識

このお玉が池は不忍池より大きかったらしいですね。この辺一体は湿地のような土地だったとか。

しかし、たぬき親子とは別にここには悲しい逸話があります。

池の名前はこの地にいたお玉の伝説に由来します。美人で評判のお玉という娘に、人柄も容姿も似たような男二人が思いを寄せ、悩んだお玉は桜が池に身を投げました。この話からこの池をお玉が池と呼ぶようになったとされます。池のあった場所の一角にはお玉の霊を慰めるため、お玉を祀る祠「繁栄お玉稲荷神社」があります。

千代田区の文化財
弁財天を祀る小さい祠と小さい池にはかわいい金魚

柳森神社は道灌さんが鬼門よけに祀ったお稲荷さんで、本殿はお稲荷さんだけどきつねとたぬきが同居してるのも面白いですね。
繁盛お玉稲荷大明神の方は、江戸時代に地震で被災して新小岩に遷座したそうです。なので、現在岩本町にあるお社の方が分社ということになるのでしょうか。

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