【目指せソムリエ#34】アンデス高地で育まれる情熱のワイン、アルゼンチン
はじめに
プレソムリエの皆さん、こんばんは！お盆期間中はたっぷり学習できましたか？といっても、飲食店の方々はむしろお忙しかったかもしれませんね。
今回はアルゼンチンです！
アルゼンチンといえばお肉が主食で、それに合う濃厚な赤ワインの多いイメージ！！
ですが、最近では今まで以上に冷涼な栽培地が開拓されつつあり、エレガントな赤ワインやアロマティックな白ワインも増えています♪
アルゼンチンの概要
アルゼンチンの国土総面積はブラジルに次ぎ南米第2位の広大な国土を持つ国です。
国土の西側を南北にのびるアンデス山脈に沿って、南北2,000kmに ブドウ畑が広がっています。ブドウ畑は海岸線からはるか遠く離れており、世界でも数少ない大陸性(内陸型)気候の巨大なワイン産地です。
アルゼンチンのブドウ畑は海抜高度450~2,980mに分布してして、その差2,500m以上！標高の高く冷涼な場所に栽培地があります。
標高差同様、ワイン産地の気温差も16~17°Cと大きく、メンドーサだけで、フランスのシャブリ、ブルゴーニュ、ボルドー、ローヌ、ラングドックの積算温度(★)が全て収まります。
産地は湿気が極端に少なく、カビ除けの薬剤散布は不要ですが、例年雹による大きな被害が発生するため、畑に防雹ネット(Anti-granizo アンチ・グラニソ)を敷設しています。
アルゼンチンでは地形と気候条件の関係で、兵器レベルの雹がごろごろ降るそうです・・！直撃したら大怪我ですね・・！
また、「Zonda ソンダ」と呼ばれる強風も、時に台風のような規模となって被害をもたらします。フェーン現象の1種で、太平洋の寒冷風がアンデスで雨を落とし、乾いてアルゼンチンに吹き下ろします。
チリ同様にブドウ畑は乾燥しており、、ブドウ栽培には灌漑が欠かせません。アンデスの豊富な雪解け水を利用するため、インカ時代から用水路が張り巡らされています。伝統的にはフラッド灌漑(水田のように用水路から水を引き込み、畑を水浸しにする方法)が行われていましたが、新しい畑はみなドリップ(点滴)灌漑に変わっています。
日本のアルゼンチンワイン輸入量は2014年をピークに減少傾向が続いていて、隣国チリと違って日本との間にEPAはまだ締結されていません。
アルゼンチンの歴史
アルゼンチンにワイン用ブドウを持ち込んだのは、3つのキリスト教伝道師のグループとされていいます。
19世紀後半からは農畜産物の生産に適したパタゴニアの土地を整備したことでヨーロッパから移民が押し寄せ、ワイン消費層が急激に拡大します。鉄道の敷設により、西部のワイン産地と消費地ブエノス・アイレスが繋がります。
1853年農事試験場(キンタ・ノルマル)がメンドーサに開設されます。植物学者のMichel Aimé Pougetミシェル・アイメ・プージェが、メンドーサにマルベック、カベルネ・ ソーヴィニヨン、メルロ、ソーヴィニヨン・ブランなどを初めて植えました。特に適合したマルベックは栽培面積 を広げ、のちに「La Francesa ラ・フランセサ」と呼ばれるほどポピュラーな品種となりました！
1900年代初頭、アンデスの灌漑用水路の整備とともに、1873年にブドウ畑が拡大し、1910年代にはイタリアから大量の移民が到来しました。この頃、新しいブドウ品種ボナルダなどのブドウ品種や、大量生産に向くパラール(棚仕立て)などがもたらされました。
アルゼンチンのブドウ品種
アルゼンチンで最も栽培されているブドウ品種はマルベックです。
フランス南西地方起源の品種で、カオールではコットとも呼ばれています。ボルドーに移植された後、一時期はボルドーの栽培面積の半分以上を占めるほどありましたが、病害や霜害などにより栽培面積が減少してしまいました。アルゼンチンのマルベックは、房も果粒も小さく引き締まっており、アロマも豊かなのが特徴です。
アルゼンチンのワイン法
それまで一般にビノ・デ・メサ(コモンワイン)、フィノ(ファインワイン)と呼ばれていたものは、1999年に施行され たワインとブドウ原料のスピリッツに関する法律によりIP、IG、DOCの3つに分類し、製造と表示に関わる基準 が定められました。
ワイン生産地域
アルゼンチンのワイン地域は大きく３つに分けられます。それぞれのDOCがどこの地方に属するか答えられるようにしましょう！
ノルテ地方(北部)
ノルテ地方の主要産地はSalta サルタ州、Tucumán トゥクマン州、Catamarca カタマルカ州の3州で、ブドウ畑の標高は750 ~2,980mです。
3州を南北に縦断するのがカルチャキ・ヴァレーで、3州の州名IGを包括する地方名IGでもある(Valles Calch- aquíes バジェ・カルチャキ)です。
カルチャキ・ヴァレーは、プレ・アンデスの最も東側に位置するキルメス山脈と、大西洋からの湿った空気を遮断するアコンキハ山脈の間に南北に伸びる谷間です。本来は亜熱帯に属する暑い土地のはずですが、標高が高いため高原の涼しさが保たれています。
カルチャキ・ヴァレーの中心地は、同国最高のトロンテスを生むとされるカファジャテ(Valle de Cafayate バジェ・デ・カファジャテ)です。
ノルテ地方主要3州の食文化にはインカの伝統が色濃く残っており、スペイン人の慣習と混ざり合っています。ジャガイモ、トウモロコシ、ピーマン、カボチャの生産が盛んですが、特に「Emapanada エンパナダ」と「Locro ロクロ」がおいしく、エンパナダはバリエーションが豊富です。
私もエンパナダが好きでたまに焼いています♪ ミートパイのようなものです。
みんなでワインピクニック楽しかった〜！お天気もよくてお昼寝も気持ちよかった😪☀️ pic.twitter.com/9sAPe4pWQt
— Yukari🍷Pleurs プルール (@pleurs_yukari) May 27, 2023
カルチャキ・ヴァレーの爽やかなトロンテスには、「Humita ウミータ」がよく合います。これはトウモロコシをすりおろしたものにタマネギを加え、クリーム状になるまで混ぜた伝統料理。古来の調理法はそれをトウモロコシでつくった皮に包んで蒸す製法です。
クージョ地方(中央部)
クージョ地方はLa Rioja ラ・リオハ州、San Juan サン・フアン州、Mendoza メンドーサ州の3州が該当します。ここは南アメリカのブドウ産地の中で生産量最大で、ブドウ畑の標高は430~2,000mです。
クージョの特産はトマト、タマネギ、かりん、アーモンド、クルミなど。オリーブオイルもたくさん生産されており、希少品種Arauco アラウコ種でつくるアルゼンチン独自のオリーブオイルは、アロマが強く複雑で完璧なバランスを保っています。
メンドーサ州
メンドーサ州はアルゼンチン全体のブドウ栽培面積の約7割を占めるアルゼンチン最大の州で、5つのサブ・リージョンに分けられます。
5つのサブリージョンはメンドーサ北部、メンドーサ川流域、ウコ・ヴァレー、メンドーサ東部、メンドーサ南部に分けられます。
サン・フアン州
サン・フアン州はメンドーサに次いで栽培面積の大きな州で、標高460~1,400mです。サン・フアン川沿いにブドウ畑の90%が位置しています。
ボナルダの栽培が盛んなトゥルム・ヴァレー、タナの栽培が盛んなソンダ・ヴァレー、サン・フアンで最も涼しく、最も新しい産地でソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールの栽培が盛んなペデルナル・ヴァレーがあります。
パタゴニア地方
パタゴニア地方はLa Pampaラ・パンパ州、Neuquénネウケン州、Río Negroリオ・ネグロ州の3州で、近年はさらに南のChubut チュブ州でも栽培が始まっています。
アルゼンチン最南端の南緯39度付近にブドウ畑が拓かれ、畑の標高は400~670mと、他に比べて低めです。
パタゴニア地方は遅霜のリスクが少なく成熟期間が長いので、白品種やピノ・ノワールなど早生品種の栽培に向いています。
湖、氷河、森林、そして風の土地として知られ、柔らかくて味の濃いラム肉、キノコ類、ベリー類が有名です。
ネウケン州
ネウケン州の生産地は標高400~460mで、一年を通して雨がほとんど降らず南極からの風が強いです。栽培品種はソーヴィニヨン・ブラン、メルロ、ピノ・ノワール、マルベックなどがあります。
リオ・ネグロ州
リオ・ネグロ州はブドウ栽培地としては最も標高が低い地域です。
栽培品種はソーヴィニヨン・ブランや、スパークリング用として注目を集めているピノ・ノワールなどです。
アトランティカ地方(大西洋沿岸部)
アトランティカ地方はBuenos Aires ブエノス・アイレス州南部の沿岸部マル・デルプラタの近郊に拓いた新しい、海風や霧の影響を受けるアルゼンチン初の栽培地です。ここではソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールなどを栽培しています。
IGとしては、Chapadmalal チャパドマラル、Villa Ventana ビジャ・ベンタナが認定されています。
首都州全体でみると牧畜業が盛んで、一般的に牛肉はソースをかけず、シンプルに塩だけで「Asado アサード」として食べられている。
おわりに
今日も学習お疲れ様でした！
あと２週間で試験期間も終了。試験日まではとにかくたくさん問題を解いて、隙間時間には地図を眺めましょう！
プルールではアルゼンチンのワインをはじめ、世界各国のワインを取り扱っています。
オンラインショップにはほんの一部のみの掲載なので、ワインをご希望の方はお気軽にこちらまでご相談ください☆
また、よく見直しをしているつもりなのですが、noteの間違いに気がついた方はこっそり教えて頂けるととても助かりますm(_ _)m
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