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せいべつ

ある朝、帰り道だった。
すれ違った若者達の一人の言葉が聞こえた。
「今の、男?女?」
連れの回答は音だけが聞こえ、何と言ったのかは分からなかった。
(私は性別的な骨格をしている自覚があり、異性に見間違えられた事はない。)

いつからだろう性別を理由に言動を制限されたり、指定される事に苦手意識を持つようになったのは……。
性別性を求められる事も苦手だ。
しかし自身の性別は理解しており、異性になりたいわけではない。
それでも性別というのは強い。
とても強い。
見ただけで、声を聞いただけで脳が勝手に振り分けてしまう。
どちらにも見えたいし、どちらにもなりたくない。
だから、どちらともとれる名前に、振る舞いをしている自覚がある。

(今思うとあの時、日の出前で薄暗かったので違和感を感じて疑問を言葉にしただけかもしれないし、自身の願望で何かを聞き間違えただけかもしれない。)

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