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勉強会イベント参加ログ~【あすけん×B/43】ユーザーの生活に染み込むプロダクトの作り方

2022年1月17日に開催されたプロダクトマネジメントの勉強会に参加したら、とても良い話が聞けたのでまとめておきます。他社の話を聞く貴重な機会で、駆け出し企画者には大変参考になりました。

イベント概要

Google Play ベストオブ2022で大賞を受賞した「あすけん」と「B/43」。それぞれのプロダクトは、どうやってユーザーの生活を改善してきたのか?それを作るプロダクトマネージャーやデザイナーの仕事とは?

今回は、あすけん伊藤さんとスマートバンク森口のプロダクトマネージャー2人に、それぞれのプロダクト作りにおいて大切にしていることや具体的なプロダクト開発のプロセスについてお話を聞いていきます。

イベント紹介ページより引用

プロダクトの詳細はリンク先で。

あすけん
B/43

どういった進め方でプロダクトを開発しているか?

あすけんの場合
<進め方>

  1. 何に取り組むかを決める

  2. リサーチ

  3. ペルソナ・ニーズ整理

    • (Pain Pointを出し、Painを解決するための必須度をユーザーストーリーマップのリリース計画に載せて、どこまでやるかを決める)

  4. プロト作成

    • (ワイヤを引いてデザインする。その段階でプロトを作って社内の人にフィードバックをもらったり、あすけんのユーザーにオンラインインタビューで定性データも得たりする)

  5. スクラム開発のサイクルに乗せてデモしながら開発

<チーム構成>
10人程度、PdMは1人
PM、スクラムマスター、バックエンド、フロント、AIなどに強いエンジニア
社内は少ないチームで、適宜社外と協力しながら開発している

<施策の管理>
Asanaでプロジェクト管理、PdMがメインで管理する
プロダクトバックログに短期施策や長期施策も並んでいて、適宜優先度を並び替えている

早く取り組むとレバレッジがきく施策を重視している
あすけんの場合は食品のバーコードスキャン機能、つまりユーザーからの栄養素データ提供ができるもの。早く作るとデータが大きくなる。

B/43の場合

<進め方>
プロジェクトが複数あり、組織横断的にメンバーをアサインしていく
B43は必要な機能が多い。これまではローンチしたてで、優先度の管理というよりは作らないといけないものが決まっていた。
プロジェクトごとに上流〜下流まで完結するプロジェクトメンバー構成にしている。
兼任はあるが、リーダーの兼務はなるべくないようにしている。

プロセス
プロセスをいったり来たりしながら作っている

  1. リサーチ(UXリサーチャー)

    • ユーザーインタビュー、アンケート、デスクリサーチなどを通して事実を集める

  2. 要件定義(プロダクトマネージャー)

    • 制作物に求められる前提条件や実現すべきことを整理する

  3. プロトタイピング(デザイナー)

    • 制作物を施策して課題を早期に発見し、完成状態の共通認識を作る

  4. 詳細設計(デザイナー)

    • 見た目や操作をユーザーが実際に利用する状態まで作り込む

  5. 実装(エンジニア)

    • プログラミングによってWebブラウザやアプリ上で動作する状態にする

FinTecでは、社外の人とどう連携しているか?
Visaカードの人とビジネス要件をつめるのはVisDev(アザミン注: VISA Developer?)の人にやってもらう。
3Dセキュアという本人認証は画面の作り込みはPMが整理、VisDevを通してVisaの人とやり取りした。ユーザー体験をVisDevの人と一緒に調整させてもらう。
政府の認可機関などは法律の制約があるが、ユーザー体験重視のためにこういう立て付けで機能作らせてほしい、などの調整はPMがやる。

プロダクト制作で大切にしていること

あすけん
ユーザーの健康第一。ただし、説教臭くなったり正論になってしまい面白くないとよくないので、感情に寄り添うのを大切にしてる。
お姉さん(みきさんというキャラ)がそういうインターフェースになるようにしている。

楽しく食事管理を大切に。(画像はあすけんWebsiteから)
サンリオのアプリとコラボも


B/43
お金の課題を解決することに価値をおいている。
これまで:財布にお金を下ろす>使う で、使うペースが分かりやすい
キャッシュレス:使うペースが分かりにくい
この課題をわかりやすくすることを一番気をつけて作っている

家計簿をつけるのは面倒
→普段のレジで買えば何をいくら使ったかがわかるようにしている

ユーザーは家計管理をしたいわけではなく、結果が知りたい
あすけんも、食事記録を作りたいわけではなくダイエットに成功したいわけで、記録しなくて済むのが一番良い

(注:ここすごく重要だなと思ったので太字)

使っていただくことの難しさ

(B/43で)日々の記録をしていくことは、ある程度自動化できるが、目標をたてるのが難しい。適切な予算の設定とか、自分が普段どれくらい使っているかわからない。あすけんの方はどうか。

(伊藤さん)やはり難易度が高い。継続率を上げるためにも、最初の目標設定が大切。ダイエットをすると決めるとき、大胆な目標を立てがち。でも時間を書けないといけないのでその間で挫折する人が多い。
アプリでは2ヶ月後の自分を描きましょうなど、現実的な目標達成を設定するように促している。こまめに設定してもらうのが成功の秘訣。
お金も、最初にいくら貯めたらよいかがわからないが、だんだん自分のスピード感が見えてくるので、それと上手く付き合っていく。
それを可視化することで、お金に向き合うようになれる。

(B/43は)1ヶ月サイクルで作っていると思うが、最初の1週をしてもらうまでが大変。そこができれば回ってくる。
あすけんは最初の1日目のサイクルを回すところがまずはハードルになる。

B/43は、このお店ではこの支払い方をする、というのが癖になっている人がいる。新しい習慣にしていってもらうのが難しい。なるべくB/43を使うと良いですよ、というのを促していくしかない。会計するときにはアプリの体験は関与できない。使ってもらう理由を作るのが難しいところ。


ユーザーのライフステージの変化にどのように向き合っているか?

あすけん
ライフステージに合った特定の目標に特化したコースを作っている。(ボディーメイク、妊娠、血圧高い人、など)
社内でニーズのマッピングを作っており、次はどのライフステージのお客様をターゲットにするかを議論している。

ジェネラルなもの、ライフステージ特化方のもので、優先付はどうしているのか?
>ペルソナ、ユーザーインタビューで重要度が高まったもので優先度を付けている。

B/43
1人暮らし、同棲/夫婦、子供と使うジュニアカード、の3つのサービスを用意している。まだ新規サービスなので、ライフステージはこれから変わっていく。ユーザーごとに全然買い物の体験や速度が違う。解決課題も違うので、分けて考える必要がある。

プロダクト展望

あすけん
食事をスマホで管理する行為はマイナー。もっとメジャーにしたい。
スマホで食事管理しなきゃ、というところまでパイを広げたい。体重管理だけならもう少し多そうだが、食事管理だと(ダイエットしたい人のうち)アプリ管理は半分も行かなそう。

記録の仕方についても展望はあるか?
テクノロジーで行くと画像解析などがあるが、それも限界がある。
あすけんとしては行動習慣や生活習慣から変えたい。
これまではレコーディングダイエットということで、やったことを記録していた。今後は、プランニングダイエット(計画立てて、そのとおり食べていく)で、食べたいものを食べながら、締めるところは締めるという行動を自分で決めていけるようにしたい。

B/43
家族におけるお金のプラットフォームになりたい。
家族内の資産管理ができるようになっていく。
無理せず、記録せずに記録できる、頑張らなくても支出管理が出来るプラットフォームになりたい。今は使った分しか管理できないが、貯金や投資の管理もできるようになれると良い。

視聴者からのQ&A

サービス開始時、これは行けると判断する材料とは?
あすけん
新規ではないので新機能ということになるが、日々見ているユーザーレビューや満足度調査、市場調査で数の多いところから優先的にやることはある

例)あす筋
開発途中にそういう要望の声があった。ダイエットができたら、次にいけるコースが欲しくなる。

必ずしも数字に反映されない改善施策のリリース後の良し悪しをどう図っているか?
B/43
サービス開発はこのKPIを達成したいから、ということで機能を作ることが多いと思うが、それ以外の施策も実際は結構あって、本人認証機能(安心してお買い物できる機能)などは定性的なニュアンスが大きい。その良し悪しは、正常に動いているか、意図したタイミングで機能が利用されて問題なく利用されているかなどを見ている。決済させないための機能なので、本人確認がどれくらい行われているかをみて、数字を見ながら正常かどうしているかを判断している。

あすけん
前提としてなるべく定量的に見ようというのは頑張る。直接的に売上が上がらなくても中間指標をもうけたり。あすけんユーザーが盛り上がっているTwitterは結構見ている。アンケートのフリー回答も。

VOC(顧客の声)が届く窓口(App Store, お問い合わせなど)ではどれを重視する?
(あすけん)インタビューに来る人はフレンドリーな人が多いので、1を付けている人やTwitterはフラットな意見としてよく見る。

エゴサしてリアクションするSNS運用もあると思うが、運営に見られている意識を与える側面もある。どれくらい介入していくのが良いか。
→リソース都合などでリプはあまりしていないが、障害時などは積極的にリプする程度

新しい機能を提供したとき、ユーザーに使ってもらうために意識することは?
あすけん
課題が多いところだが、自然と使う動線の中に機能を組み込むのが大切。ユーザーに使い方が固定化するのでそのフローの中にどう組み込むかを意識する。置く場所は本当に大事。

B/43
置く場所は大事。普段見る画面や通り道に置かないと気づかない。そういうところに各チームが一等地の奪い合いをしてしまいがちで、ユーザーにとってどういうサービスか分かりにくくなってしまう。1等地にあって当然というものをきちんと定義してコア体験作っていく必要があると思っている。

参加した感想

やはり他社のプロダクト開発のプロセスや体制についての具体的な話はとても参考になる所が大きかったです。
個人的に今回一番為になったなと思うのは、ユーザーは家計管理をしたいわけではなく、結果が知りたい。あすけんも、食事記録を作りたいわけではなくダイエットに成功したいわけで、記録しなくて済むのが一番良い。という話でした。

学習アプリであれば、ユーザーは受験合格や資格取得などのゴールがあって、ここを履き違えると、ログインしてもらうことが目的になってしまったりしそうです。ユーザーのゴールを達成出来るアプリになっているか?というのを忘れないようにしなければと思いました。
一方で学習アプリの目指すミッションとして、その人の人生が豊かになる、というところも目指していきたいので、「勉強しなくても合格する」というアプリにはなってはいけないんだろうなぁというのも、深く考えるきっかけになりました。

機会があったらまた参加してみたいです。
ちなみに、今回の勉強会はTECHPLAYというサイトで見つけました。おすすめです。

Twitterでも #あすけんB43 のタグで発信されています。
※勉強会の内容はSNSやブログで積極的に発言してほしいということだったのですが、万が一内容に問題がありましたらご連絡下さいm(__)m

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