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『King Gizzard & the Lizard Wizard・K.G』アルバムレビュー【音楽】

King gizzard and lizard wizard

K.G

はいということで本日はキングギザードアンドリザードウィザードで

K.Gをレビューさせていただければと思うのですが、

今作は平均二枚のアルバムをデビューから8年連続でそれもかなり高いクオリティで出し続けてきた彼らの16枚目のスタジオアルバムでもあり、

ドラマーエリック脱退後の初のスタジオアルバムです。

今作の位置付けとしては彼らの2017年に発表された Flying Microtonal Bananaというアルバムの系列作品です。

キングギザードを聴いたことのない方に補足させていただくと彼らの音楽は毎回のアルバムで違うバンドと思い違うほど毎アルバムで全く違うアンサンブルを唱えてきます。

今作はどちらかというと Flying Microtonal BananaやNonagon infinityの音色に近く

これまでの彼らのどのアルバムより仏教等々のインド方面の宗教に影響を受けている感じがしました。寺院にいるような気分にいるかのようなサイケデリックなメロディからは雪の降る山頂の木の匂いがします。

またレコーディングに関してもコロナの影響で全員がリモートで録音した物を組み合わせて制作されているのですが、一体感が過去作と変わらず逆に一音一音の音に関して言えば非常に丁寧に制作されているように思います。

1. "K.G.L.W."

1曲目から、チベットの山頂の寺院を想起させる奇妙で寂し雲重厚なフルートとギターのサウンドが霧の中に眠るアルバムの開幕を助長させ、

2. "Automation"

に移っていくのですが、

この曲はサウンド自体はgamma nkifeを想起させる彼らの省庁でもあるファジーなギターと

サイケの果てしなく深いハーモニーが何層にも渡って僕らを地の奥に沈めていくのですが、

その伝統や歴史を感じさせるメロディーとは正反対に

現代に蔓延るテクノロジーの進化や人間の浅はかさを皮肉を込めて歌っています。

Join the last migration It's fun, fuck the system 

Your new mess made is great King of a bald primate 

We are not worthy Of our heir's glory Mental rotation for the overlord

Superorganism Caused a schism bending light through prisms 

Cyber surgeon JavaScript person Digital cleanse 

Tell all your friends the neural network's at work

という歌詞がお経のように歌われるのですが、

Stuが現代に舞い降りた預言者のようにも見えてきます。

3. "Minimum Brain Size" 4. "Straws in the Wind"に関しても1、2曲目で育ててきたサウンドの芽を上手に伸ばし

彼らのお家芸曲に継ぎ目がないトランジションで進んでいきます。

3曲目に関しては素早く走るドラムに力のない声に弾力のあるギターサウンドが

It's pathetic though You're weaker than you know Parasitic mob Lowest of the low Himpathetic bro You're weaker than you know You don't have a say A-a-anymore

という歌詞とともにメディアの力を批判しています。

4曲目は特にアコギの構成が独特で予想のしない方向から予想のしない形で耳を刺激してくる点はキングギザードならではだと感じました。

6. "Ontology"はこれまでのキングギザーどの中でも指折りの不思議で面白い曲です。

トルコ等々の東南アジアを想起させる鉄琴等々の音が歴史ある街並みを連想させたと思ったら、一度インターバルを挟み同じリフを今度はクッソサイケでファジーなギターで2度塗りしてくる点はim in your mind fuzz を思い出させます。

7. "Intrasport"はこのアルバムの中で一番好きな曲でもあり、

このアルバムの代表曲と言っても過言ではありません。

先ほども述べたようにトルコやイスラムのディスコを想起させるシンセベースのグルーブの聴いたメロディはこれまでのキンギザでは見られなかった新たな一面でもあり、

バンドサウンドでよくここまでのサウンドは作り上げられていることに感服の一言です。

9. "Honey"はアコースティックシンセになっていて、繰り返し鳴り響くアコギのサウンドと

安定感のあるドラムとベースが曲のクライマックスに没入感を生ませます。

キングギザーどのサウンドを聴いていると毎回思うことではあるのですが、

アルバムの中に迷い込んだ気分になるんですね。

そして今何時?と思うほど時間と曲の概念が崩壊しサイケな世界に連れ込まれます。

この曲はその感覚がマックスになります。

全体的に見ると

10曲と短いトラックの中で2時間聴いているかのように密度の濃いサウンドの中に迷い込む準備がない方は聞かない方が良いかもしれません。

それほどサウンドの粘り気や世界観に取り込まれてきます。

もちろんアルバムの世界観がアルバムによって行ったり来たりしてついていけなくなりそうになるときもありますが、

それでも毎回彼らの新たな世界観おを体感できるのは幸せですし、

彼らほどクレイジーに7変げを繰り返せるバンドはいないんじゃないかと思います。

ライブを見るとこんなにたくさんの曲よく覚えられるなというほどです。

そんな彼ら世界観に触れてぶっ飛んでみてください。

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