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『flumpool・Real』アルバムレビュー【音楽】

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Flumpool

Real

今作は前作アルバム「EGG」から約4年ぶりの活動休止後初のフルレングスアルバムになっており、

メジャーデビューアルバム『Unreal』のリリースから12年

あえてジャケットをメジャーデビューアルバム『Unreal』と同じようにすることで

アルバムはオマージュになっているんですが、

音の進化を体感して欲しいとのバンドの意思の現れを感じました。

このアルバムを一言で表すなら、

バンドとしての決意

もっと分かりやすく言うと

バンドして本当に沢山のことを乗り越え

その苦難はバンドメンバーの中でしか分からないことだと思います。

その苦難を乗り越えた先の

バンドとしての決意。

再スタート、原点回帰

という意味がアルバムジャケット及びサウンドに現れています。

音源を聴いて驚いたことは、

ライブ音源を聴いているかのような熱い思い・サウンドがイヤホンの外側からの伝わってきます。

それほどに、バンドがこのアルバムに懸ける思いの強さを感じられます。

このアルバムを作るに辺りボーカルの山村さんはこのように述べています。

挫折を乗り越えた再始動のアルバムとしてこのタイトル、コンセプトでつくりたい、という想いは年末には固めていました。今僕たちはすごくリアルに、自分たちの足で一歩一歩着実に夢に向かっていけている、という感覚があって、それを音楽にしたかった。デビュー当時はいきなり100点を狙っていたところもあったけど、今は違う。昨日より今日、今日より明日という着実な加点方式で活動しているほうが楽しいな、と気付けたんです。“明日また声が出なくなるかもしれない”と思ったら、 自分たちが楽しく、熱を持ってできる曲しかやりたくない。そんな曲ばかりのアルバムになった気がします

挫折がなければ今のflumpoolのサウンド・結束力・方向性が変わっていたかもしれませんね。

そんなflumpoolの活動再開後のファーストアルバム

「real」をどんどんレビューしていければと思います。

1曲目

「20080701」


というバンドが初めて上京した日の

バスのアナウンスと共にアルバムが幕を開け

そのまま

2曲目の

「 NEW DAY DREAMER」


にて上京当時の自分たちを振り返りながら

同時に前を向きながら進む希望に満ちたサウンドを奏でます。

バンプオブチキンのオンリーロンリーグローリーのような希望に満ちたサウンドは

明かりに満ちたアルバム・バンドの未来を暗示し

3曲目

「ネバーマインド」


ではThe flumpoolサウンドを奏でることで

アルバムがflumpoolの歩みを順に追いながら述べているような気になります。

ここまで聴いた段階で

曲数を追うごとに

初めて上京したバンドが現在のflumpoolに至までの

道のりを示していることが分かります。

そういった意味でこのアルバムでは

曲順が非常に大きな意味を成しています

6曲目

「ちいさな日々」


この曲は個人的にアルバムの中で一番好きな歌で

歌は何気ないちいさな日常と家族の絆を思うとても優しい歌になっているのですが、

淡いピアノと軽やかなアコギが

どこか懐かしい2000年代中期のアニメやドラマのエンディングテーマを想起させ

楽しかった日々の記憶を蘇らせてくれる曲になっています。

9曲目

「素晴らしき嘘」


この歌は立場によって正義の意味が変わることを示唆する曲になっていて

一般的には悪い意味で使用される嘘も

二人にだけにしか分からない関係性の中では

正しさは暴力になり、

嘘は正義に変わることだってあるんだよ

と言われているような気がします。

曲はAメロBメロサビCメロサビと王道のメロディにも関わらず

非常に切ない曲調がどこかサスペンスでスリリングな印象を残します。

10曲目

「ほうれん草のソテー」


このアルバムの中で一番グルービーな曲で、

気分が落ち込んでいる時に聞くと凄く元気になる曲でもあります。

サウンド的に非常に心地よいアコギのメロディーと

スラップベースとアップビートなドラムが曲をノリノリにすると共に

どこかノスタルジアな気分にしてくれます。

このアルバムは全体的に凄く新しいことに取り組んでいる反面で

その新しさからノスタルジアが薫ってくるんですね。

そこにflumpoolの新しさを感じれると思います。

一言で言うなら

「新しさの中の懐かしさ」

です。

13曲目・16曲目

「虹の傘」

「ラストコール」


ここへきて少しずつアルバムがクライマックスに向かって行きます。

オーケストレーションのポップが融合し、

特に13曲目の「虹の傘」は

オアシスのwhateverのような寂しさを生み出し

同時に刹那的な美しさを

ただただ感じて欲しいです。

美しいものが生まれてから

散るまでの花のような曲だと思います。

最後17曲目の

「とうとい」


いよいよクライマックス

恋人に愛を伝える歌は多くあるけど、

バンドメンバーに愛を伝える歌はそう多くはありません。

この曲を聴いていると、

メンバー一人ひとりに愛を伝えている

メンバー間のラブソングに僕は聞こえました。

上京、デビュー、活動休止期間を経て現在に至るまでの

軌跡が全て詰め込んで

最終的には、メンバーにありがとうと伝えることの尊さ

そんなことをこの曲から感じることができました。

アルバムのフィナーレとしては最高の曲なんじゃないかなと思います。

全体的にみると

上京、デビュー、活動休止期間を経て現在に至るまでの

時系列をアルバムで体現していて、

それでいて

原点回帰の中にある新しさ、

新しさの中にある懐かしさ

美しさの中にある儚さ

本当に色々なことを乗り越えたバンドだから見える景色

その景色をそのまま音に乗せて届けているアルバムに

なっていると思いました。

バンドとしての結束感・挑戦する力を感じることができると思うので、

是非是非聴いてみることをおすすめします。


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