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僕はこだわる(9)「未来の自分への備忘録」【羽地朝和連載コラム】

今日は少し温かい日です。ここに書いたものを再び読むのは、数ヶ月先なのか1年先になるのか、もしかするともっと先になるのか分かりません。でもいつかまた、今のことを振り返る時がくると思うので、その時の為に今日考えたことを書きとめておきます。



新聞やニュースに流れるコロナに関する報道を日々ぼんやりながめる。ネットにあふれる不安にかられた善意の情報。飛び交う情報のどれが正しく、どれが間違っているかは、今は判断がつかないが飛びつかないようにしている。未来の自分に聞いてみたい、どれが正しかったか、どれに惑わされたか。どうあったらよかったのか。専門家や権威と言われている人たち、そして政治家が発信する情報に、ただただ翻弄される。1ヶ月前に当たり前のように言われていたことがいつの間にか消え去り、また新しいものに切り替わっている。この筋で言われていることと反対のことが他では当然のごとく主張される。もしかしたら未来になっても、何が正しかったのか、分からないのかもしれない。

先週から、沖縄も感染が拡大してきたというニュースが続いている。手技での治療をする鍼灸整骨院は多くの人が出入りし、身体接触がある。出来る限りの感染防止策はとってはいるものの、自分が患者さんにうつしてしまうのではないか、万が一感染して一緒に暮らしている祖父母にうつしてしまわないか、このまま仕事を続けるのが不安だという声が、沖縄のスタッフ何人かから寄せられ始めている。沖縄は地域の人と人のつながりの密度が高いせいか、「〇〇の公民館に出入りしている人が感染したみたいよ。〇〇公民館に行った人は危ないよ」という口伝えのやり取りが増えているようで、別々のスタッフがそれぞれ伝えてくる。思っていた以上に不安と緊張が高まってきていることが、zoom越しのスタッフの口調と表情から伝わってくる。

正午に沖縄のリーダー11名にオンラインで集まってもらい、とりあえず決めるべきことを決めた。会社のこれからのことについて確実なことは僕にも断言できないが、自分の方針を伝え、現場のリーダー達が肌感覚で感じていることを尊重してどうするかを決断した。僕の方針が正しかったのか間違っていたのか、決断が早いのか遅いのかは、今は分からない。ただ決めて当面の取り組むことが明確になり、今日明日やるべきことにすぐさま集中して取り組んでいる。本当に頼もしい。しかしそれは不安がなくなったからなのか、それとも行動することで不安を感じないようにしているのか。

沖縄の海2

経営者として、これから会社をどう経営するか、自問自答が続く。正しい決断はなんなのか、考えるときりがない。ただ、決断するのなら早ければ早い方が良い、決めたら迷わない。自分に言い聞かせてそれでも迷い、業務が日々積み重なっていく。伝えられる会社の情報は可能な範囲でスタッフにも共有して、その上でひとりひとりが自分で考えて判断してもらうのが一番いい。ただし迷っている段階のことは伝えない方がいい。が、決めたら伝える。そして状況が変わって変更したら、それを伝える。 


「経営はアートとサイエンスとクラフトだ!」ABE研究会で言っていたことが自分に返ってくる。今の自分にとってアートとは、美意識とはなんだ。思い浮かんでくるのは沖縄の言葉

“まくとぅそーけー なんくるないさ”
まこと(真、誠)のことをやっていれば、あとは自然となるようになる

この真、誠を指し示すのがアートであり美意識。こんな毎日だからこそアートに触れ、美意識を持った人と交わっていたい。
今日もいろんなことがあったが、最後は19時からのオンライン プレイバック・シアター。終わって片付けをして静かな目黒川沿いの夜道を駅に向かって歩いていると“メモリー”のメロディを口笛で吹いていた。背筋が少し伸びていた。明日もがんばろう。

いつかこの時のことを振り返った時に、たとえ間違った判断をしていたり、あの時はああすべきだったと後悔することがあっても、恥じない自分でいたい。その行先にある未来の自分は何をして、何を考えているのだろう。

(羽地朝和)

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