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数字を把握するー『子どもの自殺者数』

不定期で子どもの遊びや育ちに関係する数字を調べるシリーズ。
今回は子どもの自殺者数についてです。
客観的なデータを扱いますが、それでも気分が悪いと感じる方は、そっとページを離れてくださいね。子どもに関わる仕事をする上では、外してはならない情報だと考えて取り上げます。
そして、この時期にこの数字を取り上げることには意図があります。

今年は新型コロナウイルスの拡大のため異なりますが、統計上、通常夏休みが終わり新学期が始まる9月1日が1年で最も子ども、特に中高生の自殺が多い日なのです。近年は8月末になるとメディアが取り上げるようになったので、ある程度周知が進んできているかもしれません。

いずれにせよ、これだけこの時期に自殺が多いということは、学校という場所が一部の子どもたちにとっては本当に行きたくない場所になっているということです。そこで、その状況をなんとかできないかと動いている人たちもいます
その一つが、昨年から始まった「#学校ムリでもここあるよキャンペーン」です。
夏休み終了前後の期間(今年は8月17日〜9月12日)に、学校や家庭以外の、子どもを受け入れてくれる居場所の情報を特設サイトで紹介しています。

「学校以外の場でも子ども達を受けとめるよ」「社会全体で子ども達を見守っているよ」というメッセージを子どもたちや社会に伝えていきます。

という趣旨の元、登録されている居場所は、冒険遊び場やフリースクール、子ども食堂、学習支援施設などなどです。主催しているのは、冒険遊び場やフリースクール、子ども食堂などを広げているNPO4者による実行委員会です。詳しくはホームページをチェックしてみてください。

その他にも『家族や友達・からだ・勉強など、人には言えない「困ったかも」を手助けする10代のためのWebサイト』「Mex(ミークス)があります。こちらはこの時期に限ったものではないですが、10代の子どもたちが悩みを相談できる団体につながることができるというものです。
主催しているのは「生まれ育った環境によらず、 すべての子どもたちが安心・安全に暮らせる社会を目指して、子どもたちの権利保障、 社会保障活動を行って」いる、NPO法人3keys(スリーキーズ)です。

多くの大人たちにこの現状を、そして多くの子どもたちに「君たちを大切に思っている大人がいる」ということを伝えたいです。
ぜひ、情報のシェアをお願いします。

さて、前段が長くなりましたが、本題の数字に入っていきます。今回の出典は厚生労働省の令和元年版自殺対策白書です。
平成30年の19歳までの自殺者数は599人です。1年にこれだけの子どもが自ら命を絶っています。人数もそうですが注視したいのはその推移です。

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年代別の自殺者数の推移を見ると、他の年代はここ10年で毎年人数が減っているのに、子どもはほぼ横ばいなのです。自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)で見ても同じ傾向、むしろ微増しています。

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また、これは子どもだけでなく若者世代もですが、自殺が死因の1位なのです(平成28年度、29年度の10〜14歳は悪性新生物が1位で、自殺が2位だったのが、平成30年度は1位になっています)。

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今年は最初に夏休みが明けて以来まだ見ていませんが、子どもの自殺のニュースを見ると、本当に悲しい気持ちになります。本人としてはどうにもできなかったんだろうと。誰か一人でも手を差し伸べる人がいたなら、結果は違ったかもしれない。
そう思う一方で、私はこの問題の多くは子どもだけでは解決できないと考えます。それは、子どもが生きる環境をつくっているのは大人だからです。学校も地域も社会も、多くは大人の意向や思惑で動いています。もちろん、子どももその構成員であり、子どもたちの力で変わることもあると思います。しかし、大人の影響力が大きすぎる。

もし、一人の力で学校全体を変えられるとしたなら、その人は強い信念をもった「Rookies」の主人公・川藤幸一のような、「鈴木先生」の主人公・鈴木章のような、「GTO」の主人公・鬼塚英吉はちょっと違うかもしれないけど。でも、そんな大人はなかなかいない。
だから、一人ひとりの大人の在り方や生き方が積み重なっていくことで、変えていけないかと思うのです。そして、学校や地域や社会を変えることはできないとしても、私やあなたが、袖触れ合った子どもにとって救いの一人になるかもしれません

この時期にマスコミで子どもの自殺が取りざたされることのない、そもそも自ら命を断つ子どもがいない学校、地域、社会になるよう、これをご覧の皆さんも力を貸していただけたなら嬉しいです。

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