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五月雨や乾く間もなき庭の先
五月雨の中に記憶の蘇る
待ちながら山時鳥飛び鳴きて
入梅の厚雲くだく強き風
奥山に蹄鳴らすは小鹿かな
夏来る空の近さや胸躍る
君にまた逢ふこともがな夏の月
さざなみをかけじや袖の夏衣
忘れじの波止場を眺む風薫る
時を待ち染まりゆきけむ青葉かな
背の涙物憂く鳴きけむほととぎす
わびぬれば布団に入る短夜に
入梅や袖の乾かぬ憂う日々
梅雨の川背への思ひに溢れ出づ