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お金はどこに行ってもつきまとう

若い頃、まだ緩和ケア、ホスピスがない頃一般病棟で看取りを行っていた。
終末期癌のかたの奥様に「個室が空いたから移ったほうがいい。」と説明した。
その頃の個室料金は1日3,000円くらい。
病気の状態が少し悪くなっていたこと、個室は数が少なく満室のことが多く、個室の空き状況と奥様がきたタイミングで話をするよう看護方針として決まっていた。
少し考えてから「病状が悪化して、ギリギリのタイミングで移してほしい。」と奥様から言われた。
ギリギリって‥。予測不可能なこともある。
仲のよい御夫婦だったから私がショックを受けた。
御夫婦の歴史、今の状況、色々とあったと思う。
結果、個室に移って1日は過ごせたから希望通り。
その頃の私は世の中は、結局何をするのもお金なんだな〜と学んだ。

年をとってからお金の苦労はしたくない。
ここぞって時は、お金の事を考えたんだ選択をしたくない。
その代わり若い頃なんでもしますと願っていた。
自分も年を重ねて、経験を重ねて、大きな病気を体験して、両親を看取って、時々この御夫婦のことを思い出す。


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