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共同制作から生まれる 新しい表現と変わらない空気感の魅力 / 偶然の地層の上に howra(淺井裕介+高山夏希)@EUKARYOTE

「共同制作」って、いったいどんな作品になるんだろう?

外苑前にあるワタリウム美術館の向かいあたり。こじんまりとしているけれども3フロアに渡る展示スペースをもつギャラリー、EUKARYOTE。こちらで開催中の、淺井裕介さんと高山夏希さんによって結成されたアーティストユニット「howra」による初個展・「偶然の地層の上に」

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これまで、泥を使った作品、マスキングテープを使った作品、そして、近年は血を使った作品などを制作されてきた淺井裕介さん。2020年に開催された「池袋モンパルナス展2.0」をきっかけに高山夏希さんと往復書簡のように作品を渡し合いながら共同制作を続けてこられたとのこと。でも「共同制作」になったら、全く違った作品になってしまうのでは?と、期待も不安も入り交じるような、少し複雑な気持ちもありました。

ところが、会場に入った途端、一挙にその作品世界に引き込まれる展覧会でした。

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淺井裕介さんのモチーフと、高山夏希さんのタッチで描かれた作品群。実はわたしは高山さんの作品は初見だったのですが、アクリル絵の具を注射器を浸かって重ねてていき、それをカッターや彫刻刀で削っていくというユニークな手法。アクリル絵の具が刺繍糸のようであったり、大理石の様であったり。その質感がどこまでも魅力的です。

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テキスタイルや、陶器の破片のようなものも絵画に重ねられ、その画面はぱっと明るく華やかで、細部までとても緻密に描かれていて、今までと全然ちがう作品にも見えます。

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だけど、タッチは違っていてもその空気感というか、神聖な感じと楽しさの入り交じる様子は観ていて楽しい感じはそのままで。

「小さいころ体が光るほどに遊び回ってるあの感じ」という表現が素敵で、作品をつくることが本当に楽しんでいるのだなぁという様子が伝わってくる展覧会でした。

その良い空気感は、会場設営の様子からも伝わってきますね。

淺井裕介さんにとっては「原点回帰」、高山夏希さんは作品としての発表は初めてという粘土の作品群も。小さな作品は思わず床にしゃがみ込んで視点を合わせて見入ってしまいます。

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こちらの展示は2021年6月6日(日)まで。是非この空間を体験しにいってみてください。

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【展覧会情報】 偶然の地層の上に

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会期:2021/05/14 - 2021/06/06
会場:EUKARYOTE
時間:12:00-19:00
休廊日:月曜日

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