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【所感】建築デザイン 兵庫県立美術館


兵庫県立美術館に行ってきた。
本来の目的はゴッホ展だったのだが、開催日時を勘違いしていたため、見ることは叶わず。
現在開催されている特別展『恐竜図鑑』と常設展示などを見てきた。

しかし、最大の興味は建物そのものである。
2002年に安藤忠雄の設計の元、建てられたものだ。打ちっぱなしのコンクリートと、背面の海が融合している様は流石である。

知ったかぶったコメントをしてしまったが、建築デザインに関しても素人である。

建物をメインに色々写真を撮ったので、折角なので写真と感想を記録する。

円形階段

安藤忠雄のデザインは直線が多い印象だが、偶に曲線が入っていい塩梅になっている。直線の中に異質な曲線がある場合、曲線をメインに置いて直線構造物は引き立て役に徹しているように見える。

写真を見直すと、円形階段が薔薇のような花に見えてきた。コンクリート1つでこんなに表現できるとは、デザインってすごい。

個人的に、安藤忠雄のデザインの中で一番好きなのは直島の地中美術館なのだが、階段の風景がとても美しいと感じるためである。
それと似た風景は、ここにもあった。3Fから下に下る階段だが手摺り側をガラスにすることで階段の幾何学構造が露わになっており、とても美しい。階段てこんな綺麗なものだったっけ??と改めて機能美に気づく。

無彩色なコンクリートの中に、黄色いモービルが浮かんでおり、色の配置が素晴らしい。
コンクリートの灰色にも、青が強い灰色や、黄色が強い灰色など種類が沢山あるが、この空間はそれらを上手く配置している。

壁面のほとんどが黄色みのある灰色で統一されており、天井近くの上段のみが青い灰色のように見える。天井近くを少し暗い印象にすることで、縦の空間を引き伸ばしている。(かもしれない)

黄色い灰色の空間には、同族の黄色を置くことで統一を持たせているのだろうか?
とにかく、この色の配置がとても良かった。

4F 風の庭

アンドーギャラリーを抜けると、3.4Fに抜けられる。
ギャラリー自体もめちゃくちゃ見応えがあった。安藤忠雄が設計してきた建築のモックアップと図面が置いてあり、建築の仕事を垣間見ることができる。

4Fに出ると風の庭という名前の通路?に出る。
なんで風なのか分からなかったが、通路に立ってしばらくすると理解する。
六甲から吹き下ろす六甲颪がこの通路を吹き抜けていくのである。山側と海側を繋ぐ一直線の通路なもんだから、ほぼ常に風が吹き抜ける。
この空間は風が主人公なのかもしれない。

安藤忠雄のデザインの特徴は2つあり、1つ目は打ちっぱなしのコンクリートであること。2つ目は、自然と共存すること、だそうだ。

2つ目の特色は風の庭を見れば非常に納得する。1つ目にしても、有名なので言わずもがなだ。
打ちっぱなしのコンクリート造りの住宅は、近所にも幾つかあるのだが、やはり色と構造がいまいちしっくり来ず、住宅地の中では浮いている。
浮き過ぎて、4.5年売れていない戸建ての家があるほどだ。(他に理由があるのかもしれないけど)

やはり、コンクリート使えばいいってわけではなさそう。2つ目の特色で、自然と共存するという点が非常に重要なんだろうな。
自然とは、山とか森だけじゃなくて、土地を取り巻く環境も包含していると思うので、住宅地においては、やはり周囲の家々との共存は考慮すべき点なんだろう。

確固たるコンセプトに基づいて造られるデザインは、無意識に説得してくるなぁ。強い。



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