ブラック研究室の定義

世の中、特にツイッター上ではブラック研究室が溢れている。いっぽうで、これから研究室に配属する学生からすると、どんな研究室がブラック研究室なのか分からないだろう。ブラック研究室に恐れるがあまり、学生はとにかくブラック研究室を避けることに注力している気がする。その結果、コアタイムや残業がない時間的に楽な研究室を選ぼうとする学生が多いように感じる。それも一つの選び方ではあるが、せっかく1年間、大学院を含めれば3年間(もしくは6年間)もお世話になるのであれば、自分が成長できる研究室に行くべきだろう。そこでの成長が後のキャリアで役立つことは間違いない。逆に何もしない研究室に3年間居座ってしまうと、その期間に成長を得られず、後の人生で後悔するだろう。
本記事では自らの成長に焦点を当ててブラック研究室を定義付けしてみた。この定義を参考にこれから研究室に配属する学生さんは、研究室を選んでいただければ幸いだ。

ブラック研究室の定義

Fig.1 に時間に対して学生が得られる成長・業績を元にした研究室の分類を示す。基本的に、世の中に存在する研究室は以下の4つに分類できるだろう。

  • 第一象限:時間をかけて研究すればしっかり成長・業績が得られる研究室

  • 第二象限:時間をかけずとも成長・業績が得られる研究室

  • 第三象限:時間をかけてないので成長・業績が得られない研究室

  • 第四象限:時間をかけても成長・業績が得られない研究室

Fig. 1 時間に対して得られる成長・業績を元にした研究室の分類

筆者は、頑張れば頑張るほど報われる第一象限にある研究室をホワイト研究室と定義している。頑張らなくても報われるなどという甘い環境はこの世にはない、そのため第二象限は存在しない。第三象限の研究室は何も頑張らないので、成長も業績も得られない。至極全うである。ただし、このような研究室を学生がホワイト研究室だと勘違いすることを筆者は最も懸念している。そして、第四象限が頑張っても報われないブラック研究室である。

研究室の色は人によって異なる

これまでホワイト研究室やブラック研究室の定義について説明したきたが、筆者はホワイトからブラックまでの研究室の色は人それぞれによってグラデーションがあると思っている。素晴らしい研究環境が整っている研究室は成果が出やすく、相対的にホワイトになりやすいが、万人にとってのホワイト研究室もなければ、ブラック研究室もないのだ。例えば、優れた研究業績を多く出しているホワイト研究室でも教授との仲がギスギスしてしまい、研究の相談ができなくなってしまえば、成果が得られない。これによってブラック化してしまう。いっぽうで、不夜城と恐れられる研究室でも、学生が主体となってバンバン成果を上げ、学生の目が輝いている研究室はその学生からするとホワイトだろう。逆に、自分は研究したくない、起業したり課外活動があるのでそちらに力を入れて成長したいと思う学生からすると、第三象限の何もしないので、業績は得られない研究室がホワイトに見えるだろう。

研究室を選ぶ際に

このようにして自分にとっての研究室の色付けを行っていくと、やりたい研究ができる研究室がブラックな場合がある。その場合は、少し視野を広げてみて、自分が成長できる環境、という指標も研究室選定の際に考慮してみて欲しい。研究室で学ぶことで最も重要なことは、研究という営みのやり方である。この研究のやり方をしっかり学ぶことができれば、研究テーマが変わっても応用できる。その研究のやり方を学ぶ際に、自分がやりたいと思える研究テーマの方が学びやすいのは間違いない。しかしながら、やりたい研究というのは、教授との相性・研究環境など、研究室選定の際の1つのファクターに過ぎない。案外、それ以外の興味のなかったテーマでもやってみると面白くなるかもしれない。嫌いなテーマや分野でなければ、是非飛び込んでみてほしい。最悪、学部卒のタイミングで別の研究室に移ればいい。

まとめ

本記事のまとめ:

  • 自分が最も成長できる環境がホワイト研究室

  • ブラックの定義:頑張っても報われない研究室

  • 人によって研究室の色は違う

ここまで、述べてきたことが私の考えるブラック研究室の定義である。人によって研究室の見え方は全く異なる。自分にとってホワイトな研究室を見つけられる情報になってくれれば幸いである。

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