母はよく食べる

夕食は隣接するお食事処に移動する
メニューは行ってから決めようと思っていた
前もって私が決めてしまったら
ぜったいイチャモンつける

メニューを見て
遠慮したのか?少しのお寿司とミニうどんのセットみたいなのを指さした

そんなのでいいの?
せっかくだからいろいろ食べよう
と言うと
今度はいちばん高いのを食べたいと言う

おおお。なかなかのお値段…

いいけど笑
こんなにたくさん食べられる?
と聞くと
ひとつ値段を下げた
たぶんお刺身のボリュームが少し減るくらいでお皿の数は変わらない

目の前にたくさんの料理が並んだ
御膳にぜんぶのってるタイプのやつだ

母の耳が思った以上に聞こえていないことがわかり
普通の声で話しても聞こえないとなると
お店では話しかけられない

聞こえるように話そうとするから
大きな声になるし
どうしても語尾がキツくなる
私は朝からの1日、これで疲れてしまった

お料理を見て
キレイねーとかこれ美味しいねーとか
いろいろ話しながら食べることって
すごく楽しいんだな、と実感した

母の耳に聞こえるような大きな声で話すには
まわりが静かすぎる

さて、たくさんのお皿が並んで
おおお❗️って思った私の横で
母は一言、吐き捨てるように
こんなにいっぺんに持ってこられたら
見るだけで食べる気なくなるわ

そやねー
どこ行ってもなに見せても
イチャモンしか言わんよな
わかってるよ、知ってるよ

でも会話ができないから切ない
黙って食べた

さすがに多くて、私は食べきれなくて
横を見たらすべて完食していた

母は私よりよく食べる
ちなみに私自身も同世代の女性よりはよく食べる方だ

私よりよく食べる母、しかし「美味しかった」とはぜったい言わない。聞いたことない。
なんかいちいち切ない。

母はほんとうによく食べる
回転寿司に行くと私よりはるかに皿数は多い
胃腸は丈夫
これ受け継いだよ、ありがとう