思うことを母に伝える

私は自分の仕事で精一杯で
一人暮らしの母は
自分なりに出かける用事をたくさん作って家にこもらない努力をしていた

スマホの使い方はわからなくても
LINEは使えるおかげで、日頃のやりとりもできていて

安心していた

私にも孫にも関心がなくて
話なんて聞いてくれなくて
自分のことばかり。若いって言われた、
歳を言うたらびっくりされた自慢と
カラオケで会う方々の悪口

ずっと昔からそうだった
だから私は話を聞く姿勢を作らなかった
ただただ会うと憂鬱になる人。だった

私の方がよっぽど母に興味がなかったのだ

家に行っても
最近どう?なんて聞かれたことはない。
母の自慢話を聞き流すだけ
何度も何度も同じ話ばかりだ

今回の旅行で
一歩外に出たら、
耳がぜんぜん聞こえてないこと
人の話がぜんぜん理解できてないこと
あたふたしたり、ぼんやりしてることに
驚いたというか、シンプルにショックだった

あのええカッコしぃの母が人前でぼんやりしてる
いつも人に対して横柄に話す姿は
私の中で過去の記憶を引きずってただけだった

母のことをなんにも見てなかった

白浜のホテルで
夜、落ち着いて話を聞いてもらうことにした

耳聞こえてないんじゃない?
人の話がぜんぜん理解できないんじゃない?

「そうやで」
とフツーに答えてくれた
ぶちキレなかったことに安堵

お母さんに聞こえるように話すと
どうしても大声になるし
語尾がキツくなってしまうから
お母さん怒るでしょ
それに、
聞こえてないから
わけわからなくなってるんだと思うねん

なにがなんだかわからんから今日ずっと怒ってたんやと思うねん

補聴器とか、せめて集音器
つけてくれないかな

人目を気にする母がぜったいイヤがるヤツだ

でも私はお母さんとケンカせずに話したい。
一生懸命に伝えた
どんなふうに聞こえて、どんなふうに伝わったのかはわからないけど

キレずに最後まで聞いてくれた