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ビーツで「勝つ」

アメリカのメーカービヨンドミート社が作っている植物肉では、肉の赤色を演出するためにビーツの色素が使われているそうです。

「そこまでして肉そっくりにしなくても いいんじゃないの?」
日本人である筆者はそう思いますが、アメリカでは「肉そっくりであること」が要求されているのかもしれません。

それはともかく、今回はビーツについて。

筆者の個人的な感覚ですが、10年ほど前までは日本でビーツの話題が出ることはあまりなかったように思います。
ロシア料理を食べにいったときだけ、
「ボルシチの赤はビーツの赤」
というのを意識する程度だったような。

しかも、そもそも日本にはロシア料理の店は少なく、したがってロシア料理を食べる機会もめったにありません。
インド料理やタイ料理の店がスタバよりたくさんあるのではないかと思えるほど普及しているのとは、大違いです。

スーパーマーケットの青果売場でもビーツを見かけることも、まずなかったですね。
紀ノ国屋さんのような外国人客が多い店で、ようやく見かけるくらいでした。

ところが最近はずいぶん様変わりし、

  • 売場でビーツを見かけることが増えた

  • ビーツ入りのカット野菜も見かける

  • 日本でビーツの生産者さんに出会う機会が増えた

  • ビーツを題材にしたネット記事が増えた

など、ビーツに触れることが多くなった気がしています。

ビーツは、
「筋肉の毛細血管にいたるまで 血流を良くする即効性がある」
ことが確認されています。

即効性があるというのがポイント。

スポーツ選手が試合の直前にビーツのジュースを飲むと、筋肉の細かいところまで血液が行き渡り、(=酸素供給が増える)身体能力が高まります。
これは専属の栄養士がついている海外のアスリートのあいだでは知られた話。
日本でビーツ生産者が増えたというのも、ビーツを欲しがる海外のスポーツ選手が大勢やってきたという、昨年のオリンピック需要のあらわれなのかもしれません。

数年前のことですが
「ビーツは筋肉だけでなく 脳の前頭葉への血流を促す働きがある」
という研究結果が、シカゴにある大学から発表されました。

脳の前頭葉は、人間の運動、言語、感情をつかさどる重要な部分で、ここに血流が行き渡れば、人は意欲が活発になります。
したがってビーツは、

  • 認知症の予防や治癒

  • 受験勉強などの集中力向上

にもつながる「ブレインフード」だと言われています。

たまたまでしょうがビーツ(beet)は「勝つ」(beat)と綴りが似ています。
発音はおそらく同じ。
日本の受験生が受験に「勝つ」ためにトンカツやカツ丼を食べるのは、栄養学的にはあまり良くないようですが、勝つ(beat)ためにビーツ(beet)を食べるのは、正解なのかもしれません。

スポーツや受験勉強、認知症対策に役立つビーツですが、今のところ

  • 調理中に色素が衣服に着くと落ちにくい

  • そのまま食べてもあまり美味しくない

という弱点もあります。

前者の色素問題については、これはもう衣服に付着しないように気をつけるのが今のところ唯一の方法だと思われます。

しかし後者の美味しさ問題については、日本人は美味しく食べる天才でもあるのであまり心配していません。
ビーツが食卓に普及すればするほどたくさんの美味しい食べかたやレシピが
次々と発明されることでしょう。
日本の生産者も、日本人の味覚にあう美味しいビーツの栽培方法を開発するに違いありません。




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