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ふとしたときに、そっと口ずさんでしまう歌があります。
それは、幼い頃に祖母がよく歌ってくれたもの。
🎶雨が降ります 雨が降る
遊びに行きたし 傘はなし
紅緒の○○も 緒が切れた
雨の日に、傘がなく履き物も壊れていて遊びに行けない…という歌詞と、物悲しいメロディです。けれど、曲のタイトルを知らず、歌詞もうろ覚えだったので、ずっと謎のままでした。
ずいぶん前にネットで歌詞を検索したことがあったのですが、別の明るい曲調の歌ばかり出てきて、自分の記憶とは符合しなかったのです。
祖母は音痴ではなかったと思う…けれど、メロディが違っていたら、うろ覚えの歌詞だけで探し出すのは難しいかもしれないなぁ。
自分の記憶の宝箱にひっそりと眠らせておくのがよいかもしれない。そう思って、この曲のことはしばらく忘れていました。
けれどここ最近、ずっとこの歌が頭から離れないのです。
やりたいことがあっても、さまざまな事情で今は我慢しなければならない。そんな困難や寂しさといった心境に寄り添ってくれる歌として、この曲が記憶の底から呼び起こされるのだと、気がつきました。
そうだ、こんな時こそ!と思い立ってChatGPTに相談。いくつか候補曲を提示してもらい、歌詞を照合しながら、YouTubeで検索したのです。
ついに長年のモヤモヤが晴れました。そう、祖母が歌ってくれたのはこの曲!
雨
作詞:北原白秋 作曲:弘田龍太郎
雨がふります 雨がふる
遊びにゆきたし 傘はなし
紅緒の木履も緒が切れた
雨がふります 雨がふる
いやでもお家で 遊びましょう
千代紙おりましょう たたみましょう
雨がふります 雨がふる
けんけん小雉子が今啼いた
小雉子も寒かろ 寂しかろ
雨がふります 雨がふる
お人形寝かせど まだ止まぬ
お線香花火も みな焚いた
雨がふります 雨がふる
昼もふるふる 夜もふる
雨がふります 雨がふる
一番目の歌詞しか記憶にありませんでしたが、曲を聴いたら二番目以降も祖母が歌っていたことに気づきました。
音楽に乗せて歌っていたわけではありません。祖母のアカペラです。それだけに、雨が降って外に出ることもできず、家の中で寂しさと向き合う、ただただ暗い曲という印象が私の中に深く刻み込まれているようです。
でも、このYouTubeを見つけたことで、新しい発見がありました。
解説にこんな一文があったのです。
「昼も夜もさんざん降ったあとは、止むのですね。ラストだけ調がマイナーからメジャーに変化します」
この文章を受けて、改めて曲を聴き直してみました。
確かに、最後の最後で曲調が変化します。雨が止んで、太陽の光が降り注ぐ気配があるのです。
「明けない夜はない」。
バッチのフラワーエッセンスには、“魂の暗い闇夜”と呼ばれる心理的な絶望に対応したスイート・チェストナットがありますが、この曲にも同じようなメッセージを感じ取ることができます。
暗闇の中で見いだすひとすじの光。雨後に架かる虹。
そんなポジティブなメッセージが、この曲には潜んでいたのですね。
記憶の歌を紐解いたことで、大変貴重な収穫が得られました。
闇から光へ…というポジティブなイメージを、これからこの曲に抱くことができます。幼き日の祖母との懐かしい思い出とともに。
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