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真鶴半島にて

神奈川県の西部に、お気に入りのパワーチャージスポットがあります。
真鶴半島です。

真鶴半島を知ったのは、アンドルー・ワイル博士の著書など多数の翻訳で知られている、上野圭一さんにお会いしたことがきっかけ。
もう15年以上も前のことですが、雑誌の執筆依頼で、当時真鶴にお住まいだった上野さんのご自宅に伺ったのです。
そして、上野さんが運転する車で、真鶴半島をぐるりと案内していただきました。

真鶴半島には、地元の人たちから“お林”と呼ばれている原生林があります。
漁業が盛んなこの地域では、古来から漁場を豊かにしてくれるのは樹木であり森なのだということを知っていて、半島に突き出たようにある森を“山の神”として崇めていたのです。
その信仰が残っているこの地域は、これらお林の森を、魚付き保安林として大切に守っています。

上野さんの案内で、この原生林を車で回ったときの印象がとても強く残っていて、それからというもの、プライベートで何度もお林を訪ねることに。
そのうちに、気心の知れたメンバーと冬至前に真鶴へ行き、上野さんに教えていただいたおすすめの旅館に泊まり、海岸で日の出を見て、山の神にお参りをしながらお林を散策する……という旅を繰り返すようになりました。

早起きして旅館の窓から夜明け前の空を見上げると、満天の星。
冬のピンと張り詰めた空気で美しい日の出が見られることを期待し、寒くないようにたくさん厚着をして、真鶴半島の突端・三つ岩海岸に向かいます。
寒さで身を寄せ合いながら海岸で待つこと20分。
ついに東の空から太陽が顔をのぞかせました。
夜の闇の世界から昼の光の世界へと切り替わるその瞬間を、この目で、この身体で、しっかりと味わいます。

毎年ほぼ同じ時期に、同じ場所で日の出を見続けたわけですが、空の表情は毎回異なります。
ある年は、たくさんの雲に遮られながら日の出を迎え、雲の谷間から“天使の梯子”と呼ばれる光がたくさん見えていました。
それはとてもとても幻想的な風景だったのです。
後に知ったことなのですが、その光景を眺めている少し前に、親しい人が息を引き取っていました。
そんな、天国への旅立ちを象徴するかのような風景に目を奪われたこともあります。

また別の年では、太陽の輪郭がはっきりとわかる、とても大きな姿で現れたこともあります。
雲に邪魔されることがないぶん、光はダイレクトに地上に注がれています。
そしてその光は、海岸に立っている私の身体にも注がれてきます。
細胞のひとつひとつに光が届いていくこと、その光がハートを満たしていくのを感じながら、ただただその場に立ち尽くしていました。
太陽の偉大さ、力強さと美しさを圧倒的に見せつけられたような感じでした。

いつしか、そんな旅を計画することもなくなってしまいましたが、今でも私は一人で真鶴を訪ねます。
山の神に挨拶をしてお林に入り、海岸に出てぼんやりと海を見つめる。
ただそれだけで心は満たされ、エネルギーがみなぎってくるのです。

地元の人が愛し、大切に守るお林の自然は、人間世界に疲れた私の心を確実に癒してくれます。
自然の中に身を置く必要性を痛切に感じるからこそ、こういったお気に入りの場所をいくつも持っておきたいと思うのです。

いただいたサポートは、人々や地球の癒しと成長に貢献する人やモノ・グループへと循環させてゆきます。ひとしずくの水が大海へと繋がっていくように、豊かさのエネルギーをここから世界のすみずみにめぐりめぐらせていくためのファースト・ステップに選んでくださるのだとしたら、大変光栄です💫