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Baggageっていう響きが良いんだ!

=プロローグ=

 あれは、アジアのビーチリゾートが徐々に人気を上げはじめていた頃です。 当時私は、まだまだ駆け出しの #旅行屋  で、マレーシア各地の産業視察が行われ、最終的にはシンガポールまで南下するという仕事でした。この仕事での最初の滞在地がペナンだったわけです。呑気なビーチ・リゾートライフとははかけ離れ、ダークスーツの偉い方々とともに、この暖かいを通り越して、熱いと言える島にやってきたわけです。何故にスーツ?? 当時、この手の視察団は、成田空港に特別待合室なるものを予約して、お見送りの皆さんとともに、結団式というものを行うわけです。そこには、お偉い方々もお越しになるので、初日はスーツにネクタイで出発するという、事が常態化しておりました。旅行屋としても、同様で、例えハワイに行く場合でも、市初日は、ジャケット、ネクタイ、もしくはスーツというのが、当たり前でした。ついでに書けば、現場に行く場合はのスタンダードは、ハードケースに、機内持ち込みのソフトアタッシュ、紺ブレにトラウザーズ、足元はローファーみたいなものから、お堅い視察団んあら、ダークスーツとなるわけです。この日、私は濃紺の #ペイトンプレイスフォーメン  の ダブルスーツにドレスシャツ、派手目のタイに、コールハーンのローファーでした。なぜ、ローファーか? 2日目からラフに、ポロシャツ、チノパンになった場合でも、ローファーなら大丈夫、という旅先では極めて強い見方な分けです。JL便でクアラルンプールに入り、MHに乗り換えペナンに到着したのは夕刻が迫るころ、ジャケットは成田を発ってから、手には持つけれど、一度も袖は通していない状態でした。ホテルに到着早々ミーティングというスケジュール。滞在したホテルは #ラササヤン  ま、かなり良いホテルなのでした。早速、ミーティングスペースとして用意されたのは、レストランの一角をそのまま提供していただいたようなスペースで、南国感溢れる、作りの店内、真っ白なテーブルクロスに、テーブル挿花、汗をかいた、ピッチャーには、トロピカルなジュースに、さらにコーヒポットにティーポット、パーソナルにお手拭きに、クッキーという感じでした。
そこで、ローカルの参加者と合流し、明日からのスケジュールの読み合わせや、メンバーの顔合わせと言う、お決まりの進行で1時間ほどが過ぎたところで、ミーティングは中断することになりました。原因はペナンの夕日でした。メンバーのミーティングはそれなりに緊張感のあるものでしたが、窓一面に広がる、その夕日たるや、どうにもこうにも、呆れるばかりの美しさだったからです。あんな夕日は、もう後にも先にも見たことが無い。何かの勘違いかと思い、ネットでペナンの夕日 と検索したところ、やはり、何件かはヒットしたから、多分、この夕日に嘘はないと思います。レストランには、張り出しのテラスみたいなものがあり、そこに出て、みな見とれていましたね。そう・・時間にして20分ほど、言葉が出ない時でした。

夕日で中断したミーティングを終えて、部屋に帰ったのち、夕食となったわけですが。夕食は、何て言えばいいのか、フレンチでもエスパニョーラでもなければ、アメリカでもない、そのうえ、アジアンエスニックでもない、洗練された食事なのだけれど、表現できない美味しいシーフードなのです。海老 蟹 魚 その総てが、美味美味美味なのです、十分な油と塩と、深い6味味がいっぱいに広がる、少しのアルコールとともに、時間をかけた初日の夕食でした。

そして、あの食事の後で、僕らはやっと業務から解放されたわけです。

前泊して早朝便で飛び、経由でペナンへ、勤務時間にして、16時間ぶりのプライベート、部屋に入りシャワーを浴び、そそくさにポロシャツにコットンのパンツに着替え、まだ少しだけ濡れた髪でロービーに出のはもう夜も遅い時間。ここから、一週間以上をともにする、ガイド君が待っていてくれて、飲みに連れていってくれるという。車でロカールの店に行く手もあったけれど、今日が初日で、この先も長い、宿泊しているこのホテルのバーでは僕らの年齢では楽しめないだろうと言う事になり、遥かにカジュアルなお隣のホテルのバー兼ディスコに出かけた。そこは、まさにビーチリゾートの夜で同世代が群れていたわけです。
そこで、意気投合したのが、名古屋から来て数日目だという、OLさんのグループ、花火の輝く、フルーツプレートで記念写真を撮っていた彼女達から、シャッター押してくれと頼まれたのがきっかけでした。
話を聞くと、お気軽なリゾートライフが、この日で一転、パラセールをビーチボーイに頼んでやっていたところ、風にあおられ、何でも木に引っかかって、怪我をして、一人は病院だという。ようやく、落ち着いたので、彼女を残して病院から戻り、宿泊先のこのホテルのここで遊んでいるという。確かに、折角の旅行、折角のリゾート、この選択を責めるのも違うと思うし、今心配しても、あとは医者任せか? でも、保証とか、治療費とかきちんとやらないと不味い、職業柄一瞬でおせっかいモードに戻る、若い旅行屋だったのでした。その日は、もう遅いので、きちんとお遊びモード全開として、翌日、こちらの業務の間に、様々動いて、最低限のお手伝いをしたわけです。別に、大したことはしていないのですが、変に感謝されたわけですが、残念ながらこちらのペナン滞在は2日間、翌日には、次なる目的地、イポーへと向かったのでした。

=今日の本題= 

#私の仕事

何で、こんな書き出しかと言えば、今日はこの古いスーツケースの話をしたかったから・・・
今では、もう、思い出しか詰まっとらず、その重さで、キャスターが破損して修理も出来ない、このスーツケースです。

マルエム松崎 コラーニX デザイナー: ルイジ コラーニ によるデザインのもので、1990年代前半に購入したものだと思います。

丸M松坂 コラーニX すーつけーす

ペナンにこれを持って行ったか定かでは無いのですが、当時は仕事柄、いくつかのケースを持っておりまして、滞在が10日にも及んだこのツアーでは、これを持って行ったと思われます。当時は、僕は、長いツアーではこれを使い、ハワイとか近場用には、 #サムソナイト   #オイスター  さらに、サムソの中型がもう一つだった記憶があります。
そして、このスースケースに一枚のステッカーが貼られているのですが、これが、今日の記事の本題なのです。

ガルミッシュパルテンキルヘンのステッカーですね

(ステッカーの詳細)
バイエルン・ツークシュピッツ鉄道 (Bayerische Zugspitzbahn)
バイエルン・ツークシュピッツ鉄道はドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンからツークシュピッツェ山までを結ぶ登山鉄道である。途中のリッフェルリスから終点のツークシュピッツプラット間は、トンネルになっている。このトンネルの入口は雪の進入を防ぐために扉でふさがれていて、列車が通るときだけ開くシステムになっている。(wikiから抜粋)

さて、このステッカーが貼られたのは、1990年代も終わりに差し掛かる頃だったと思うのです。その日、私はパリに来ていました。この時のホテルは、町中から少し離れた場所で、私自身も使ったことのないホテルでした。わりと自由な日程だったのか、地下鉄でオペラまで買い物に行って、帰ってきたところで、声をかけられました。そこには、一人の同業者と思しき、女性でしたが、僕の記憶には無い女性でした。けれど、彼女はきちんと、こちらの名前も言っているし・・誰? それしか浮かびません。
「ペナンで、友達がパラセイルで木に引っかかって・・」
そう、あの時の女の子だったんです。
あの夜の女の子達の一人
それは覚えていましたよ
懐かしさから、その夜少飲もうという事になり
仕事が終わったあと、彼女と部屋のみを
ワインとつまみを調達して
昔話もなにも、二人の共通の思い出は、あのディスコでの出来事だけ
けど、話はとても面白いものでした

彼女は、あの旅を終えた後、旅行を仕事にしたいと思ったそうです。それは、旅先の僕を見て、この仕事に興味を持ったと言います。本当かどうかはわかりませんが、僕は基本的には法人営業なので、決して添乗業務がメインではありません、けれど、当時、年間で50日以上は海外に出ていたので、営業としては、そこそこ出ていた方かもしれません、大型やイベント、仕切りが中心ですが、まあ旅行屋の辛さ、面白さは知っているつもりです。その、彼女が旅行屋になって、現れたんですから、まあ、ひきこもごも、と同時に 「あれ、すげー綺麗になった」それにたいして、「それって、綺麗じゃ無かったという意味ですか」としゃれで切り返してくるじゃないですか。
「いやぁ・・・・」
ま、その夜はとても楽しくも、少しだけ切ない夜になったわけです。
多分、僕は、彼女と何らかの思い出を作ろうとしたんだと思うし・・・
そんな、彼女が僕との関係を、ちょうど #ラバースタンプ を 押すみたいに、残していったのが、このステッカーなのです。
部屋の隅においてあった、僕のスーツケースに彼女はっと貼っていった
部屋を出ていく少し前に
悪戯な笑顔で
彼女は、僕の知るかぎり、最高に上手に立ち回れる、女性だと思ったんだ
どのルートで、ここからパリに来たのか、聞きもしなったけれど
そして、この日以来、今日まで彼女とは会っていない
名刺ぐらいもらえば良かったけれど
それは、絶対に、格好良くないと なぜか思っていたから

四半世紀前の出来事です。

元気だろうか? そう思う相手の 名前も顔も もうわかりません

旅行屋の仕事って、なんか切ないものです。

=エピローグ=

当時の旅行屋は、自分たちのテーマソングを勝手に #浪漫飛行  だと思っていました。 #米米CLUB

トランク一つだけで浪漫飛行へ In The Sky 飛びまわれ この My Heart 忘れないで あのときめき一人じゃない もう一度空へ その胸の中までも くもらぬように Right Away

そのトランクももうこんなにくたびれて

でも、いい季節だったのです。


現代はこれですか?

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