アメリカの中学歴史教科書「UNITED STATES HISTORY」を読んでみた(建国以前編)
の続き。今回は、建国の経緯について、日本の教科書との書きっぷりの違いに注目してみた。
まず、日本の教科書の建国の書き方についてだが、日本の建国についての記述はかなり曖昧だ。というのも、日本の国のはしりが出来たのが約2000年前と言われており、文字が無い時代のためはっきりとしたところは分からない。
そもそも「日本」という国名より先に倭国は成り立っており、「日本」という国名が実体の国よりも後から出来ている。
したがって、日本の建国の書き方としては、古代国家の形成として、中国の歴史書の記述や古墳等の物的証拠等から考察され、じきに律令国家が出来、後に文字が定着し「日本」という国名が出来た、といった具合で、昔にいたっては考古学的な考察も多分に含んでいるような書き方となる。
さて、他方アメリカの教科書であるが、日本とはだいぶ目次構成が異なる。というのもアメリカ建国の年は1776年であり、近代といっていい時代である。
したがって、文字等によりはっきりと記録が残っている時代であり、かつ、日本のように2000年前のような昔の時代の重要性は高くないといえる。
そのため、全32章のうち、1500年以前は最初の1章でまとまっており(日本では教科書の半分程度を占めている)、そこから4章にかけて建国の経緯が述べられる、といった具合である。
したがって、5章以降、近現代の記述は非常に詳しく、例えば戦争時の記述においては敵方がどのような作戦でどの経路で攻めてきたか、といった細かく具体的な部分まで言及がなされる。
日本の歴史の授業では、長い歴史を頭から少しずつ進めるため、近現代は卒業間近で小走りになるか、自分で読んでおいてといった具合だと思う。歴史で特に重要なポイントは建国の部分と近現代だと考えられる。もう少し日本の歴史教科書や歴史の授業でも、近現代に力点をおいてもよいのではなかろうか。
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