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324円のお遊び

美術館に行ったら必ず作品を買う。ただし、予算に限りがあるので、買えるのは3点まで。
そんな心持ちで美術館を楽しむことにしている。数十点もの作品の一つひとつをつぶさに観察し、選評していく。ちょっとした重要人物になった気分だ。

職員に案内され、ギャラリーの入口へ。木製の床が足音を鳴らす。
いよいよ作品とご対面。まずは遠目からぱしゃり。木々と木陰がキャンバスの大半を暗く埋め、中央だけ木々の向こう側に明るく日差しがさしている。木陰で隠れるように戯れている数人の貴族(4〜5人)。うーむ、いい構図!
近づいて細部を確認する。どうやら貴族の一人(男)が隣りにいる女性を誘っているようだ。中央の明るい部分にぼんやり描かれているのは、田園で働く農民たち。遊ぶ貴族と働く農民…世知辛い…。
そして額縁。その造り込みは日光東照宮もびっくりなほど精巧できらびやか。これがロココ調ってやつか(てきとう)。

そんなこんなで2時間とおして3点を選び、ほっと一息。
そのままギャラリーの外にある売店にいき、ポストカード3枚購入する。お会計は324円。

本物の絵画のように丁重に抱え、自宅までの道のりを歩く。ちょっとした重要人物になった気分である。


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