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ガンプラ啓発活動02 嫁とイケメン

嫁は最近までジャニオタだった。

かなり幼少期からはまっていたようだ。
老舗芸能雑誌「明星」の切り抜きをスクラップしたファイルがうちの物置にはかなりのボリュームで眠っている。
推しが表紙を飾っている週刊テレビジョンなどもかなり積んである。
これをとっておく意味が私には分からない。
表紙にちょろっと推しが載っているだけなのだから、一週限りのテレビ雑誌など、後から読み返すことなどまずない。
ほんとうに邪魔だ。

なんどかこっそり捨てようとしたことがあるのだが、未遂に終わっている。
なぜか気付かれる。
あの勘の鋭さは獣並みだ。
「あなたのガンダムもとつぜん消えるわよ」
などと言い出したので、最近は手が出せずにいる。

最初はTOKIOの長瀬君だったという。
次が関ジャニ∞の錦戸君だった。
二人の顔に共通性を見出せない私は、なぜ彼女が彼らにはまったのかは分からない。
しかし、彼女の言動からどうも母性をくすぐられているのではないかと分析している。


育てているのよと聞いた時は、
二度聞きした。
まじか…
アイドルをまるで自分の子供のようにいつくしむ姿に、狂気の影が見え隠れするが、どうも本気のようだ。

幼少の頃に発掘した彼らとは、青春時代を共に過ごし、苦楽を乗り越えてきたらしい。
彼らが立派になっていくその姿がまぶしく、まるでじぶんのことのように嬉しい。かれらの活躍を心から応援しているらしい。

私がいないとだめなのよあの子たち。

そうなんだ…。

でもさー、
さすがに、苦楽まではともにしてないんじゃないの?
と聞いてみると、
彼らのコンサートに積極的に参加することが彼女にとって苦楽を共にすること同じことらしい。

コンサートでは体液をまき散らしながら狂ったように応援するらしく、非常に体力を消耗する。(本当に飛び散るらしい…)
また、帰りには、彼らの名前や顔写真が入ったグッズをわんさと購入しお布施をしなければならない。

やれやれたいへんだったわよなどといって帰ってくるがおそらく苦行ではないだろう。
だって、つやつやした顔で帰ってくる。

いいけど。

まあ、いいけど。

同じコンサートに二日続けて通い詰めるのはやめてほしい。
正直ちょっと怖い。

ちなみに、購入したグッズは、コンサートから帰ってくると放置してあるのでこれらをクローゼットに格納するのは私の仕事になっている。
妻はコンサートで頑張ってきたのだから、それくらいは夫として当然の義務だという風潮がうちにはある。
そしてそれらのグッズは、その後、持ち出して使っているところを見たことがない。当たり前だ。
これらのグッズは使うのが目的ではなく、買うのが目的だ。
なるほどお布施といっても過言ではない。


以前、近所のご家族とバーベキューをした時のことだ。
なかなか炭に火がつかず、新聞紙や雑誌で懸命に煽っていたのだが、ふとクローゼットに格納した大きなうちわを思い出した。
例のあれだ。
すぐさま持ち出して、炭火をあおると、通常のうちわよりも大きいそのうちわは、弱弱しい炭火に大量の酸素を供給し、大いに活躍してくれた。

すばらしい。
ようやくお前も役にたったな…。
そんなことをうちわにプリントされた草薙君につぶやいていたら、

後ろで嫁の悲鳴が響き渡り、
私の元に飛んできてぶん殴られた。

なんだよ。
ちょっと焦げただけじゃないか。
気を使って、草薙君を選んだっていうのに。
しかし、あれが長瀬君だったら、きっと刺されていたにちがいない。
錦戸君のだったら、私の手塩にかけたガンプラたちが炭火の中に投入されていただろう。あぶないところだった…。

まあ、
そんなこんなで、現在に至るわけだが、
先日、錦戸君が関ジャニを脱退したのを契機に、彼女のジャニオタ度が急激に落ち込んでしまった。

今は若手俳優の中村何某を応援し始めているようだが、以前のようなギラギラした感じがなくなってしまった。

私自身はまったくもってジャニーズに興味がないのだが、何かにはまって、応援するというのはいい事だと思っている。

情熱を注ぐ対象はなんであれ、何かに夢中になるという行為が、その人の深みを増し魅力になるように思う。だからこそ、少々残念だ。
ジャニーズは彼女がはまっていた唯一の趣味らしい趣味だったのに。

やはり、彼女には新たに情熱を傾けられる何かを見つけてもらうしかない。

そうだな。
やはりガンプラしかないな。

ガンダムにもイケメン要素はあるしな。


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