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若き詩人への手紙 若き女性への手紙

"例えば閉ざされた部屋のように、あるいは非常に未知な言葉で書かれた書物のように、愛されることを。今すぐ答えを探さないで下さい。"本書は苦悩する青年、苦境に立つ女性へ。詩人が、深い共感にみちた助言を送りつづけた書簡集。現代人にも励ましと力を与えてくれる普遍的良書。

個人的には主宰する読書会で紹介されたのを機に手にとりました。

さて、そんな本書はオーギュスト・ロダンからの影響で言語を通じて手探りで対象に迫ろうとする「事物詩」で知られる詩人にして【よく手紙を書いたことでも知られる】著者による、詩人志望の青年フランツ・カプスから手紙に答える『若き詩人への手紙』子供との二人暮しを支えるために働きながらリルケの詩を読んでいた女性リーザ・ハイゼとの文通の集成『若き女性への手紙』の二つが、約120ページで収録された書簡集なのですが。

まず、お互いのやりとりが紹介される往復書簡ではなく、あくまで【著者の返事のみが収録されている】のが新鮮で。カプス、そしてハイゼは【一体どんな手紙を著者に書いたのだろうか?】と読み手に想像が委ねられているのが良かった。

また、著者の相手への【共感に満ちた丁寧かつ誠実な返事】は翻訳を通じてもテキストから強く伝わってきて。当時と比較してSNSやEメールなど返事の早さや、やりとり量こそ増えた現代社会ですが。果たして著者のような素晴らしい言葉を自分は誰かに届けられているだろうか?と自問自答してしまった。

悩める若い方に。そして愛情や信頼に溢れる書簡集としてもオススメ。

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