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文学のトリセツ

"本書は『桃太郎』への多彩な読み方を理解することによって、文学の読解の手法を学び、批判的思考力を養い、文学をより身近に感じてもらうことを意図しています"2020年発刊の本書は、文学の奥深さと面白さを教えてくれるガイドブック良書。

個人的には著者の『詩のトリセツ』が大変面白かったので本書も手にとりました。

さて、そんな本書は『文学について興味があるけど、何から読めばいいのかわからない』方を対象に、ある調査によれば、日本人の約8割がストーリーを知っているといわれる『桃太郎』をテキスト題材にしながら『文学って何?』『なぜ今、文学を学ぶ必要があるのか?』の【そもそも論、文学批評の変遷話】から始めて、構造主義批評と脱構築批評、精神分析批評、マルクス主義批評、フェミニズム批評、ポストコロニアル批評、カルチュラル・スタディーズ、障害学批評、エコクリティシズム批評、人文情報学批評といった文学理論を丁寧に解説してくれているわけですが。

あとがきにおいて、あえて『理論の単純化のために、正確性や分野の広範性を犠牲にしている』とも書いてますが、なかなかどうして、文学はもちろん哲学や思想史について。ある程度はかじっていないと理解が不十分になってしまうのではないか。と思ってしまう位に充実した内容でした。

また、文学批評ではないが。リアルやメタバースで読書会を主宰している立場としても、作品の様々な角度からの楽しみ方を具体的に学ぶことができ、周囲の読書好きたちにすすめたくなりました。

文学批評の基本が学べる入門書として、また(私のように)読んだ本の感想をWEBにアップしている方にもオススメ。

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