古本屋おやじ 観た、読んだ、書いた
"私の得た結論はひとつ、自分の嫌いな人間が買いにくるような本を置かなければいいのだ、自分の嫌いな人間がやってこない店にしてしまえばいいのだという、しごく単純明解な理論でありました"2002年発刊の本書は映画書専門店、稲垣書店の店主によるリアルな古本屋の日々。共感しきりの良書。
個人的には著者の事も、されているお店の事も知らなかったのですが。下鴨納涼古本まつりで見つけて手にとりました。
さて、そんな本書は2024年現在も続いている東京の三河島にある稲垣書店の店主が、四部構成にて『観た、読んだ、書いた』というサブタイトル通りに専門である映画についての本やモノ、古本屋としての仕入や店番、思わぬ本や人との出会いが自虐的なれど陽性の語り口で自由自在に描かれているのですが。
フリーペーパー専門店の店主でもある私にとって、稲垣書店の店主さんの語る覚悟や【お客をお店側が選ぶ工夫】例えば『当店のドアは、なるべくはいってきてもらいたくないという願望のもと、特別に重い一枚ガラスにしてある』なんかは、うちのお店の扉もまったく同じ意図で怪しいネオンサインをつけたりしてるので共感しきりでした(笑)
また、京都在住の私にとっては京都アスタルテ書房のオシャレな紹介記事に地団駄をふむような店主のグチに親近感を覚えて大笑いしたり、読書好きには定番な『チャリング・クロス街84番地』に対する『わが思うところの生きた《古本屋》は出てこない』という眺め方もなるほど!と感じたり。
文化の発信地!と覚悟を決めて古本屋をしている全ての方に。また古本屋に憧れている人が現実を知るための補助線としてもオススメ。
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