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京都タワーで朝風呂を

"知識はないが、京都に対する愛だけをたよりに?描いています。一見こき下ろしているようなところもありますが、これも京都に対する『愛』からなのですよ!!"2009年発刊の本書は、インバウンド本格化前の京都が保存された。今となっては貴重な一冊。



個人的には2021年6末に京都タワー大浴場が閉鎖となることから。また一つ京都らしい風景が失われるな。との思いからタイトルにひかれて手にとりました。

さて、そんな本書は現在はイラストレーター、漫画家、雑貨店「BROCCA」店主として幅広く活躍している著者の実質的、はじめての単著として『小説推理』に連載された『問う京都!!』に加筆修正する形で、伝統文化の新しいこころみや京都珍名所巡りなど、良い意味で勢いのある【行き当たりばったり的な内容】が収録されているのですが。

本書は、いわゆる爆買いなどのインバウンドの影響が本格化した【2010年代より前に書かれている】本なので、改装される前の野暮ったい京都タワー売場や、姿を変える前の五条楽園、牧歌的なお寺や神社などの様子が描かれていて。情報としてはともかく【こんな感じだったな】と懐かしく読ませていただきました。

また、私事で恐縮ですが。何十年かぶりに京都に戻ってきて。2010年から直近のコロナの影響で観光客が激減するまでの約10年間でよく言えば【お洒落かつキレイ】なお店やホテルが増えたし、公衆トイレもとても綺麗になりましたが。その一方で、陰翳礼讃的な闇というか【京都らしい】時間が止まったような場所がどんどんなくなっているような寂しさも覚えているので。本書は『京都の魅力』とは?をあらためて考える。よいきっかけとなりました。

インバウンド本格化前の京都を懐かしく思う人へ。またお手軽コミックエッセイとしてオススメ。

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