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貨幣論

"貨幣の系譜をさかのぼっていくと、それは『本物』の貨幣の『代わり』がそれ自体で『本物』の貨幣になってしまうという『奇跡』によってくりかえしくりかえし寸断されているのがわかる。"1993年発刊の本書は『資本論』を読み解き、自己循環論法の産物、貨幣について丁寧に考察している良書。

個人的には主宰する読書会の課題図書として手にとりました。

さて、そんな本書はマルクスの『資本論』のとくに第一章『商品』から頻繁に引用しながら、そしてそれらについて解釈と批判を加えながら、価値形態論、交換過程論、貨幣系譜論、恐慌論、危機論と全5章にかけて。貨幣とはそのモノ自体に価値があるのではなく【貨幣として使われているから価値があるのだ】(自己循環論)ということを明らかにしているわけですが。

率直に言って、最初は【今さらマルクス?】と最初は思ってしまったのですが。読み進めると、私自身もいわゆる暗号通貨が話題になったときに同じく通貨(貨幣とは?)の起源や発展を人類史的にリサーチしたことがあったので、本書で語られていることには概ね共感できました。

読後にネットでリサーチしてみると【現実が、抽象的に考えた理論にどんどん近づいてきたのです】とインタビューで答えてましたが。ブロックチェーン技術やキャッシュレス化が益々進んでいく現在。今あらためて読むべき一冊かもしれません。

経済学古典として、また『通貨(貨幣)』について。深く考察したい方にもオススメ。

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