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ギケイキ

"かってハルク・ホーガンという人気レスラーが居たが私など、その名を聞くたびにハルク判官と瞬間的に頭の中で変換してしまう"2016年発刊の本書は、作者不詳の古典軍記物語『義経紀』を著者が再解釈"らしい文体"でテンポよく描いた娯楽小説シリーズ第1巻。

個人的には、著者の『くせのある流れる様な文体』がとても好きなので手にとりました。

さて、そんな本書は南北朝時代から室町時代初期に成立したと考えられている作者不詳の軍記物語『義経記』(ぎけいき)』で描かれた源義経と弁慶他の主従たちを、著者なりの【義経一人称の現代小説(!)】として"忠実"に描き直しているのですが。

面白い。もはや"その一言につきる"感じで(『文体』はやはり人を選ぶと思いますが)京都在住の自分が歴史の教科書で学び、親しんできた【これまでの義経像】が、著者によってハイテンポで【塗り替えられていく】心地良さにどっぷりと浸らせていただきました。(五条大橋の『牛若丸と弁慶の石像』を眺めると、もはや『本書の方』を思い出してしまう)

ただ一つだけ、2021年時点で気になるとすると【いつ完結するのか?】でしょうか。古典では全8巻みたいですが。期待も込めて、著者にはぜひ最後まで【この文体、リズムでたどり着いてほしい】と心からの期待を込めて願っています。いやあ、町田康さん、最高です!

(私のような)町田康ファンはもちろん、古典『義経紀』に真面目に興味ある人にもオススメです。

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