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おじさんと僕⑤

季節の変わり目は

なんだか目で見て

よく分かる

朝は寒々言ってる人が増えてきたし

服装をブクブクと着込んでる

樹たちも色を変えたり葉が減ったり

秋が通り過ぎている

Aは寒いのが苦手である

いつもの通学路

今日は

Bがなかなか来なくて

電信柱と待っていた

周りはどんどん歩いてて

会社に向かう大人たちや

車もどんどん通り過ぎる

A『はぁ...遅いな...』

いつまで経っても来ない

少しイライラしてきた

何で待たなきゃいけないんだ...

そんな気持ちさえ湧いてきた

いっそ迎えに行こうか...

遅刻してはいけないと

少し焦ったAは

Bのお家に向かった

ぴんぽーん

呼び鈴を鳴らすと

Bのお母さんが出てきた

B母「あら。朝からどうしたの?」

A『今日、Bくんと学校に行く約束していて...」

B母「えっ!あらっ!ごめんなさい!

   今日Bね、熱が出ちゃって

   お休みしてるのよ。

   ごめんなさいね。待っててくれたのね。」

申し訳なさそうに、

パックのジュースを手渡され

「行ってらっしゃい、頑張ってね」の声で

送り出されたAは

トボトボと歩き出した

今日はBくんいないのか...

それにしても僕は何を頑張るのだろう...

よく分からない

モヤモヤした気持ちを

胸に抱き

いつもより遅めに

学校についた

いつもの学校

いつもの授業

変わらぬ周り

でも、Bがいない

なんだかつまらない

休憩時間も外見て過ごしただけだった

あ。ウサギとニワトリにエサやらなきゃ。

いつもは忘れたことなんてないエサやりも

うっかり忘れそうになってた。

慌ててエサやりに向かう。

いつもは2人でしてたから

今日は余計に時間が掛かってしまって

少し薄暗い中をトボトボと一人で

帰ることになってしまった

A『Bくんがいたらな...』

そんなつぶやきを受け止めてくれるかのように

街頭も付き始めて

何だか余計に寂しくなった

「あれ?今日は一人なのか」

ふと声をする方に顔を向けると

おじさんが立っていた。

犬の散歩?見慣れない犬を連れていた。

今日起きた事情を

特に誰に話すでもなかったが

おじさんだから話してしまった。

おじ「そうか。そりゃ災難だったな。

   誰でも生きてりゃ

   病気の一つや二つするさ

   急だったんだろう

   責めてもしょうがない

   体調良くなったら、ショックだったぞ

   って言えば終いさ

   全てには一つ終わりがあるが

   ソーセージだけは二つある

   ドイツにはそんな言葉があるらしい。

   終わりよければ全てよしだ。」

リアクションしてくれた嬉しさ反面

おじさんのよく分からない話に

Aは不思議そうに返す

A『ソーセージはお得ってこと?』

ワンっ♪

おじ「これこれ!お前のことじゃないよ!」

A『え?』

恥ずかしそうにおじさんが話す。

おじさん一人暮らしが寂しくて

犬を飼い出したんだと

小さな小さな雑種

茶色くて

長細くて

手足が短い

その名もソーセージ...

ホットドッグと迷ったみたい。

そんな話をされて

なんだかモヤモヤしていた自分が

バカみたいで

笑ってしまった。

おじさんも恥ずかしそうに笑った。

二人とも笑った。

ケラケラ笑った。

サポートがなんなのかすら理解できていませんが、少しでも誰かのためになる記事を綴り続けられるよう、今後ともコツコツと頑張ります!