見出し画像

腰椎術後のリハについて海外の論文から

日本の論文だけでは足りない!疑問に思っていたが見つからない!
そんなセラピストの為の臨床推論や方針に役立つ英語論文の知識を紹介します。わかりやすいようにまとめているので実際の論文も読むことをお勧めします。そのための紹介です!!

今回は腰(腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症)の術後を追った論文について紹介します。

 近年腰(LDH・LSCS)の術後の外来リハビリについて書かれている日本語の論文が少なく、腰の術後ってリハビリいらないの??と思っています。                 海外の論文にも外来の報告は少ないです。               それはなぜなのか根拠となりそうな論文を2つ紹介します!!


題名:A randomised controlled trial of post -operative rehabilitation after surgical decompression of the lumber spine
(腰椎の除圧術後のリハビリのランダム比較実験)

・目的

 2年間2種類のリハビリをした群と運動のみ群の3群を無作為比較実験で比較し、予後の調査をする。

・対象

腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症の手術適応45歳以上を対象              男性:100人 女性:59人 65±11歳

・方法

・記録

最大12週間、週2回、30分exを行い、運動日記を記録する。
痛みはグラフィックレーティングスケールと腰痛特異的評価(RMDQ)を
術前と術後2・5か月で評価 1・2年でIntention to treat分析が行われた。

・群の分け方

keep active:自己管理で自分で選択した運動(楽しいと思えるもの)で
      アクティブに保つもの
spine stability ex:(脊椎の安定性ex):腹横筋・内腹斜筋・多裂筋の共同収縮パターンを獲得する。こちらは特別な訓練を受けたPT(jullによって記述されたプログラムについて)が治療。
mix ex:PTの経験と自由な判断で行われた。日常生活を反映するよう行われたために統一されなかった。



術式:退行性のSCSはundercutting laminotomy and medial partial resection
   椎間板の疾患には椎間板の除去と硬膜と神経根のモビライゼーション

術後6~8週は術創保護のためリハビリなど治療は特になかったが動く・歩き回ったりするよう指示された。

術前機能評価:矢状面上の腰椎・股関節の可動域 トレッドミル上の歩行能力 深部体幹筋の選択的収縮

結果

障害はリハ前と2か月後で大きく減少し、その後最大24か月変化をしなかったが、リハビリ中に低下し、その後安定したがグループ差はなかった。Reg painはすべてのグループでリハビリ終了から12か月までに優位な増
加を示した。

考察

患者が楽しく感じる活動を続けることは監督されたリハビリテーションと同じくら良い。

この文献の面白いポイント!!

この論文だけだと腰の術後のリハビリは必要ない!!と考える方が多いでしょう。この研究では痛みなどの症状を追っており、症状がなくなれば一時的に患者は治ったと錯覚する。しかし、この研究は機能面では乏しく、筋力低下の影響などは考えていないと感じました。高齢が多いことから「患者が楽しく感じる活動」ではロコモを生じさせることが考えられます。ロコモは転倒リスクや再発のリスクを増加させる因子の一つと考えられ、長期的な予後を考えたときにリハビリは必要なのか??と考えさせられます。臨床では痛みや症状がなくても全身的な筋力低下は多いと感じております。ここをどう捉えていくかが臨床家のカギになりそうです。


題名:Early Active Training After Lumber Discectomy A Prospective Randomized and Controlled Study

目的

理学療法プログラムを術直後に評価した研究はない。この研究の目的は監視なしでの二つの個別トレーニングを比較すること。

 

方法

26人のEAT(Early Active Training )群と26人のコントロール群で治療。選択基準は保存療法で効果がなかった者で16~70歳の症状または神経筋症状のある者。

EATでは女性8人、男性18人 平均年齢41(24~68歳) 

コントロール群では女性6人、男性20人 平均年齢39(21~66歳) 術前 術後1 、3、6、12 、52週間の6回評価。

2年後にexのコンプライアンスを測定するアンケート配布した。


ETA群

ランバーサポートなし術後2日から座位と歩行の許可。
座位は同じだがセミファーラー姿位を指示。

EATは2つのセクションで分けられていた。術後5日で伸展ex(マッケンジー様)三週間で屈曲exを行った。術後初日からSLR効果保持のためのストレッチを行った。これらは一日5~6回の頻度で推奨した。

術後6週~12週では腰椎の屈曲exを座位や立位で行った。水泳やジョギングも勧められた。


コントロール群

術後2日から座位と歩行の許可。腰椎の前彎保持のためにタオルのランバーロールを座位、背臥位、側臥位の処方、最初の6週間は腹部筋のアイソメトリックとアイソトニックと大腿のアイソトニックの強化を目的にexを行った。(sit-up) 。6~12週では脊椎の屈曲と側屈可動性向上のexを開始。


結果

leg pain:EAT8.4か月持続 コントロール群は6.8か月持続。


腰痛:EATが18か月 コントロール群は14.7か月 持続


SLR陽性:術後3週ではコントロール群に7人 6,12週後は3人が陽性だった。


体幹ROM:EAT群の術後12週で増加 一年でEAT群は体幹の伸展が増加 コントロール群では屈曲が増加


ハムストリングスの長さ:EATが術後12週で増加したが一年では優位な変化なし。


無痛者:6週後まではEAT群はが多かったがそれ以降有意差なし

術後6週で背中と足に痛みがあるのがEATで2人コントロール群で6人いた。EAT群の12人とコントロール群の5人は背中の痛みがあった。術後52週では各グループ5人づつ背中と足の痛み EAT6人 コントロール群4人が腰痛を有した。

仕事:術後12週でEATは15人コントロール群は10人に復帰


この文献の面白いポイント!!

この文献では術後早期のリハビリは効果的なのか検証しています。結果ではleg painと腰痛がAET群は多く早期から腰椎はアクティブに動かされていることが原因と推測される。それ以外の項目はコントロール群よりも優れているが多くは、時間が過ぎるにつれ優位差がなくなっていくことから、リスクを避けることを考えるとコントロール群のリハビリの方が優れている。しかし、職場復帰を早く望む患者様も多い中甲乙つけがたい結果になっております。

術後の方には痛みが強い方、少しだけの方様々いらっしゃるのでその中で、選択していく必要がありそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?