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今日は夫が居ないから

昨日の夜は近所の焼き鳥屋さんで少しお酒を飲んだ。
夫婦二人で飲みに行くことは、ないわけではないけれど決して多くはない。
基本飲むなら家が好きだし、外で飲む時は私たち夫婦以外に友達が混ざることが多い。
けれど二人で飲みに行くことも全くないわけではない、一年に二回くらいはある。昨日がそれだった。

前日から私は無性に焼き鳥が食べたかった。しかも炭火のチリチリふっくら丁寧に焼かれたやつを、目の前ですぐ焼き立てを食べたかった。
次の日の昼間、夫が焼き鳥屋をたくさん調べてURLを送ってきた。何気なく「焼き鳥食べたいな〜」と言ったらすぐそうやって提案してくるところ大好き、結婚したい。結婚してるのにいつもそう思っちゃう。
その中で歩いていける焼き鳥屋さんがあったので二人でそこで夕飯にすることにした。
す〜ごく美味しかった。焼き鳥の焼き加減も香りも最高だったし、タレは甘ったるくなくてサラッとしててそれだけで酒が進んでしまった。
「焼き鳥食べたい」と言ってから24時間足らずで一緒に食べに行ってくれる夫のことを好きだと思った。

焼き鳥屋を出た後の帰り道、同じ夜なのに行きよりもずっと冷え込んでいた。
私は大袈裟なくらい防寒していたので、寒そうにしていた夫に私のマフラーを貸してあげた。
「ちょっと余計かもな」くらいに防寒しておくと好きな男にマフラーを巻いてあげられるのでとても良い。

帰ってすぐ二人でお風呂に入って、フワフワの新しい布団カバーをつけたお布団でぐっすり眠った。
ご飯を食べる時と眠るときは、毎回本気で幸せだと感じる。毎日必ずやってくるそれの幸福度は減るどころか年々増えていっている気さえする。
一人でもそうだったかもしれないけど、夫がいるからこそより濃く感じられている気がする。
私なりの良い歳の重ね方のひとつかもしれない。


今朝は見られている気配を感じて目を覚ますと、夫が私の顔を覗き込んでいた。
遊びに出かけるから髪の毛をセットしてほしい、と言われたので起き抜けのままアイロンで髪の毛をセットしてあげた。視線で人を起こすことができるのすごいなと思った。そういえば実家の猫もそうやって私を起こしてくることがある。
なんとなく太陽の眩しさと別の、瞼の裏を照らすような視線。目を開けると猫が私を見ていて、「おはよう」と言うとニャーと鳴く。
あれは単に視線の問題なのか、要望を念じて視線を送ってくるので伝わって目が覚めてしまうのか、なんなのだろうか。

髪の毛を整えてやると、夫は嬉しそうに「ありがとう!行ってきま〜す!」と出て行った。時計を見るとまだ8時過ぎで、33歳の男がこんな時間から何して遊ぶんだ…と考えかけてやめた。
夫はずっと小学5年生みたいな遊び方ばかりしているので多分今日もバドミントンとかケイドロとかそんなことだと思う。
夫を見送ったあと、めずらしくパンが食べたくなったので自分のためだけにパンを焼いて食事の用意をした。
パンは買った方がはやいし美味しいものも多いけれど、つくるのが楽しくて好きなのでそれでよしとしている。

潰したゆで卵にマヨネーズと、私のためだけに粒マスタードと刻んだピクルスを多めに入れた。
誰かと食べるご飯を作るのも大好きだけど、家に一人のときの、自分のためだけの自分勝手な料理はまた違った楽しさがあっていい。

さっきラム酒をビタビタにかけたアイスクリームを食べたのでとても気分が良い。
このまま寝落ちするまでソファで本を読んで、帰ってきた夫が起こしてくれたら布団で眠ることとする。


夜な夜な夜な/倉橋ヨエコ
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