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[転売]について③

転売について③

 転売は、いろいろな階層で起きている。
おそらく転売という行為は、今まで、曲がりなりにも安定して機能していた販売や流通のシステムの、屋台骨をぐずぐずに崩壊させていく。それが予感ではなく現実に変わった瞬間がある。
 官房長官がマスク転売禁止を発表したときだ。あ、政治の場面に[転売]という言葉が出てくるのだ。転売は、禁止事項でもなく、モラルでの禁忌でもなく、なんとなく流されてきていた。
 政府が、コロナによる、メルカリやヤフオクでのマスクの転売を禁止した時、日本は中国に大敗退をしていた。どういうことか。コロナが中国から世界へ拡がろうとしたとき、中国人の日本への渡航は許されていた時期があって、大挙して日本に来てマスクを転売用に購入していった。その辺りの事情を、浅草や大阪の業者(中国人のために品物を買ってあげる店舗。のちにネット販売になる。)たちは、「中国政府は凄いよ。空港で彼らの買ったマスクを二束三文で買い上げる。強制的に。ほぼ只と一緒。だから買った中国のお客さんにできるだけ分散して送ったり、分からないように持ち込みなさいとアドヴァイスしている。」と笑った。
 当時、日本人がマスクを買い占める以前に、中国人が転売用にマスクを買いあさってしまっていたのだ。後手後手日本、後手安倍マスク。「アベマスクは?」「普通に見向きもされない。売ってないしね。世界でもっとも役に立たないマスク、ゴミ以下」中国が行っている、中国人が手早く行った転売の、カバーにもなっていない。税金を使ってね。
 転売目的で買った中国人から巻き上げたマスクは、マスク外交、中国政府の医療支援と称した戦略物資として活用されていた。中国からイタリアに大量の無料マスクが支援された。イタリア人が中国経由のマスクで喜んでいるフェイク動画も拡散した。これも中国製だと云われている。このキャンペーンでイタリアの中国人嫌いはあっという間に解消してしまった。
 それに比べ、使えないマスクをまき散らし、使えるマスクを中国に流出してしまったあとで、おっとり刀で転売規制をかける。転売業者達は、中国人に高値で売って仕事を終えている。規制の対象になっているのは、面白がって、あるいは儲かるかもと後からアマチュア、小規模の個人ものだ。
 転売の上前をはねる転売で、国家単位でメリットを挙げる中国と、ただただ転売屋にやられてしまって、使えるものを自国で供給できない/わざと使えるものを作らない(としか思えない)ようにして外国企業や中国を儲けさせ(使えないものを知り合いの会社に作らせる、あるいは代理店を何重にもかませて利益を製造に関係のないところにばらまく。
 最も上の階層が、最も下の個人での転売を利用して、転売を戦略化している。それを見ぬ振りして、それに乗じて自分の利権を太らせる安倍。転売というのは、上から下まで繋がって、転売されたものを作っている製造者に不利益をもたらしている。もう少しでもいいから、国を思い、国民を思う施政者がでないと、たぶん、いろいろなものは滅びていく。中国との戦争には勝てない。軍備費だけ多くしても、その予算がどこへ行くか分かったもんじゃない。

 さて次はネット販売の階層。
 Amazon。
 Amazonは、買った本の…本だけじゃなくほぼすべての商品が…返品フリーになっている。アメリカだと大々的にそれをうたっている。AmazonJapanでも気をつけてみれば、それは書かれている。出版社がAmazonを使うと云うことは、契約している取次経由で入るので、取次が出版社の本の返品フリーをAmazonと契約しているので、自動的にうちもAmazonの返品フリー契約の下にある。
 さてここでAmazonの転売屋の手法。Amazonでは予約をとれるようになっているけれども、例えばうちなら初回100冊位と注文がはいる。そうすると転売屋はその100冊全部に予約入れてしまう。すると販売開始日にうちが売り出す本は、売り切れになる。うちのような零細なところは、何故かまだ入荷していないという表示がでる。下手すると品切れなんていう表示もする。
 そこで転売屋は新品というカテゴリーで定価より高額でマーケットプレイスで出品する。するとあたかも新刊のうちが出したと思えるような表示で、その転売屋の新刊高額本が、あたかもAmazonで売っているうちの新刊のように表示されるのだ。これは普通にひっかかる。実際に、これは中川多理さんや山尾悠子さんの本を販売した時に起きたことで、Amazonに連絡しても(なかなか連絡窓口から連絡はつかないのだけれども…なにせ2000社くらいをひとりで担当しているらしい。と、言っていた。)マーケットプレイスで安く出せば、一番先頭に表示されますよと、返答をする。けれどもマーケットプレイスで定価より、あるいは転売屋より安く出しても、転売屋の上に表示されることはない。
 何度も消してはあげて、消してはあげ、あるいは他の人に頼んで出してもらうを繰り返したが、そうはならない。Amazonはおそらく確信犯で、転売屋の活動を補助している。広告をだせばそうなるのか、プログラムを書き換えているのか、そこらはまったく分からない。お手上げ。転売屋は日本語が変なのも多いから中国人が跋扈している可能性もある。
 AmazonJapanの代表のジャスパー・チャンが、中国人転売屋に便宜を図っているということがまことしやかに伝わっている。
カナダ国籍ではあるが、香港生まれ。国家レベルでやってるかもって思ってしまう。で、転売屋、もう充分高値で売ったと見たら、余った在庫分は返品する。しかも悪意たっぷりに汚してきたりする。汚れていたから返品しますと伝えれば、Amazonは大量でも引き受ける。返品された本は使えない。そうして版元にダメージを与えながら、自分たちは投資零で利益をあげて行く。注意してみると、Amazon予約を利用した転売屋はけっこう存在する。
 Amazonはそうした輩を優遇して、守って、助長するシステムで、存在している。Amazonはマーケットプレイスを治外法権にすることによって利益をあげやすくしている。取次をつかう正規のルートはAmazonでも利益が大きくだすことは難しい。
 店売屋がやりやすいようなシステムを作れば、そこには必要以上の転売屋が群がる。ネットでは転売のやり方をレクチャーする講座がたくさんある。その結果、苦しむのはまずは版元ということになる。

 さて個人の転売屋の最大の問題。
 個人の転売をする輩。転売をする不当性については、書いたので、ここでは、転売したあとのセカンド転売について。
セカンド・レイプという概念があるが、転売したあとでの反応として、匿名のままこちらを揶揄したり…手が出ないでしょう…名前や住所を晒したらそっちが炎上するからね、こっちが訴えられるしね…へへ、手が出ないでしょうと、自分の正当性、罪に問われない優位性を見せつけて、こちらにダメージを与える行為をすることだ。
 転売についての裁判を行ったことがあるが、裁判中であっても相手は謝った呈をとりながら、執拗に裁判の中でもこちらにダメージを与えてくる。個人の転売の問題は、転売をした上での正当性主張の攻撃をすることと、それに同意する輩の発言が多数出てくることのこちらが受けるダメージだ。
 本とか作品は、もちろん種類にもよるけれども、基本文化物、創造物でもあって、単に利益をあげれば良いというものではない。しかし出版なり、作家活動なりを継続していくためには売り上げて行かなくてはならない。なので経済行為にもなっている。だから買ったものは自由だろうという理屈は成り立たない。転売何が悪いの?的な発言と態度、そしてそれが助長されて拡がっていくことは、創造に係わる人間に相当のダメージを与える。
 今回、高額転売している人物は、しばしば人形ファンとして、あるいは山尾悠子ファンとして会場に現われている。こちらとしては、そういう人だと思って相手をするが…その行為が転売のための本を手に入れるための、自由に出入りして、丁寧に扱われるための方便でしかないということだ。この人間はネット上で山尾悠子とファンとしての対話を交わしている。記事を読めば分かるが、中川多里さんはファンだから売らないですよと揶揄するように言っているので…詰まる所、山尾悠子も川野芽生もファンでもなんでもなく、高額で売れる作家だから買っていますと、云うことになる。
 改めて云うが、瞬間高額転売も酷いが、そのあと、からかったり攻撃してきたりする匿名発言は、こちらのモチベーションを大きく阻害するし、基本会場に来る人間に対する不信感を植え付けられることになる。相手が分かっていて法律的にも何にも手がでない、向こうが大手をふっている、この状態は、自分を鬱にする。
 世界の70%は非民主主義だそうだ。非民主主義の下ではよりずるをして生き延びるものが勝ちを収める。日本もすっかりそうなっている。民主主義でやられる人間を規制して、ずるをする人間を守るというこの国の体制は、もしかして非民主主義国家よりも酷い部分をもっているかもしれない。
 どうしたら良いのだろうか。覚悟を決めて非民主主義的な方法で対抗する他ないのだろうか。

転売について①

転売について②



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