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日々是徒然○[映え]と[転売]

チョコジーは浅草千束通り、中頃左側にある週末だけ開いている乙女カフェ。開いているのは週末だけ。それでも時々は休みになる。長野で農場を作ってもいるのでその作業でお休みのこともある。今週のスケジュールを木曜日に確認するのが習慣になっている。インスタグラムに上がると、「お客さんは1人でおいでください。常連の方は今まで通りで…」というようなことが書かれてある。
また何かあったのかなと少し憂慮する。

チョコジーは、元靴屋さんを手書き4000枚のタイルで改造した乙女なカフェ。入り口土間のところに、椅子を三脚置いてカフェをしている。そこも乙女満開。中の部屋はもっと乙女。でも入ったことは一度もない。昔は、お客を入れていたらしいけど、インスタによれば、撮影にかして嫌な思いをしたとか…。

乙女なカフェは、居るだけで癒される。そしてとにかく珈琲が美味しい。いつもはブレンドかエチオピアを飲んでいるのだが…今日は念願のチョコケーキがあるので、それを頼んで、飲み物はお任せに…そしたら…ブレンドの味がいつもと違うような…「いつもと違う豆ですか?」と聞くと、「今日は、チョコレートケーキなので、それに合わせたチョコジーのブレンドなんです。百塔カフェでブレンドを組んでもらったんだけど、あ、一緒に考えて…これをやりたくてカフェを、してるのね。彼女は、百塔珈琲で、修業していて、焙煎は向かないと思った段階でやめてカフェを開いたという話。そうなんだ、どうりで珈琲、美味しいわけですね。

でもね、最近、「映え」客が多くてね。と。ちょっと顔を曇らせる。「映え」るケーキと飲み物って何ですか?って聞いてオーダーしてくるの。飲まずに食べずに冩眞だけ撮って帰るお客さんもいる。飲むのに興味がなくて、とにかく「映え」「映え」って。それで、お部屋に入れるのをやめちゃったの。最近また[映え]が増えてきて…。注文が[映え]るケーキと飲み物をと云われるらしい。それでお一人様に限定したようだ。
だいたい、お店で撮った写真を、インスタに載せるのに許可がいるとは思っていない。とった映像は晒していい好きにしていい。だってお金を払った客なのだから。当然のこと、そこに出された飲み物や食べ物に敬意を払わない、それを出している人のことをは慮らない。コミュニケーションしない。そんな扱いをする客に傷つけられるチョコジーのオーナーの気持ちは痛いほど分かる。

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お客は、お金を払っているから、好きにしていいいというのは、年々強くなってきている。そこに、SNSが絡んで、お客の勝手主張はとどまるところをしならい。創作人形も買ったら自由にして良い、壊そうが棄てようが売ろうが自由でしょと。そしてそれをSNSに公開して、創作できなくしてやるよと作家に向けて攻撃をしかける。そんなことは多々…(多々ってすごいでしょ)経験する。
最近、酷い転売業者の人に心折れた。サインしてくれた作家も、喜んでくれるだろうと思って販売したギャラリーのスタッフもオーナーも。会場で人形ファンを装って「買いたいんですけど、ちょっとお金がないから…」と、代わりにとサイン本を求めていく。ファンだと思うから、人形のこと作家のこと、丁寧にお話をする。
その人は、ファンでも何でもない、ただの悪質な業者だった。恒常的に、そして購入したら直ぐに高額で販売する。うちでしか、そのときにしか販売しなかったものなので、

簡単に人物は特定できた。二次販売をするなら仕入れなので、ちゃんと古物商の免許を提示して断ってからにして欲しい。
サイン本を作るには、仕入れをして(サインを入れるので買い取る)、作家に送って戻して(運送費がかかる)という手間と経費をかけるので、利益はでないし、むしろ赤字かもしれない。中川多理さんが神田のPassgeでの本屋にも協力している。そこからも調達している。Passageは、率が悪いので赤字率が高い。お金を損しながら出している本で、転売業者は何千円も儲けている。一冊でだ。何で嫌な気分を味わいながら、被害を受けなければいけないのだろう。
実際、サイン本の管理が悪いと、作家からおしかりを受けて、おつきあいが停止になった。損害はただならない。こういう悪質な転売は、威力業務妨害にあたると思うけれど、創作人形のときの経験からいっても、弁護士も裁判所も、なかなか動きが悪くて、判例も少なく(裁判って判例によって動くとはしらなかった)訴えること自体も大変である。
悪質な人のやりたい放題というのが、現状のところだ。
[映え]を避けるために入場制限をするように、[転売]を避けるようにする方法はほとんどない。ネットでやられたことはネットで返せば良いのだろうが、あんまり勇気もないので、それもできない。
どうしたら良いかほとほとまいっている。そして辛い。


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