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統計検定準1級の合格体験記を赤裸々に書く (CBT試験)

2023年11月下旬、1度の不合格を経て統計検定準1級のCBT試験に合格できました!受験時代にたくさんの受験記ブログにお世話になったので、これから受験する人にとって少しでも参考になればと思い、合格体験記を感じたままに書いていこうと思います。


自己紹介

理系大学院を卒業したのち、ソフトウェア企業のカスタマーサクセス部門に所属しています。CS領域のお仕事をしながらデータアナリストとしても活動しています(結構異色)。今回はシンプルに「統計スキルを伸ばしたい」と思い、受験に至りました。

受験してみた感想

  1. 試験ごとに難易度に差があるかも?と感じた

    1回目に受験した時は「めちゃめちゃ難しいじゃん…」と戦慄しました。過去問の中で1年だけレベルが違うと言われている2021年と同じくらいの難易度に感じました。(結果は不合格)

    一方で、1回目の2週間後に2回目受験した時は、過去問2021年ほどの難易度は感じませんでした。CBT試験は不合格だったとしても7日経てばもう一度受験できるので、諦めずに根気良く何度も受験するのが合格への鍵かもしれません。

    (自分自身も「あんなに勉強したのに不合格なんて悔しい、問題が難しかった説?」という気持ちで2回目のリベンジ戦を申し込んだので、諦めなくてよかったなと感じてます。)

  2. 統計学実践ワークブックの内容が満遍なく出題されるなと感じた

    これは1回目も2回目も感じたことなんですが、ワークブックの中でもかなり細かい内容が出ます。『細かっ!』って試験中に何度も思いました。

    他のブログにも書いてある通り、「ワークブックの内容をしっかり理解する」ことが合格の1番の近道であるのは間違いないなと思いました。「しっかり理解する」の目安は章中の例問題章末問題理解した上で完璧に解けることだと思います。参考の勉強法などは後半に書いてあるのであるのでよかったら見てみて欲しいです!

左が1回目の受験結果、右が2回目の受験結果。
確率分布は隅々までやったつもりなのに…(笑)

受験前の状態と勉強時間

2022年の初めに統計検定2級には合格してました。その時は割とすんなり合格できたので、同じ感じかなあと見越してたところ、ワークブックを開いて絶望しました。『範囲が広すぎるし難易度も難しい!』太鼓の達人の「むずかしいコース」と「おにコース」くらいの難易度の差を感じました。(笑)

そんなことを思いながら、2023年8月から4ヶ月間勉強しました。初めの3ヶ月は平日1時間、土日4時間ほど、最後の1ヶ月は平日2時間、土日8時間ほどやりました(最後の1ヶ月は受験生気分でした)。

おすすめの勉強法

これは他のブログに書いてある通りです。このワークブックをやり込むに尽きると思います!とにかくこの教材を完璧にしたもの勝ちだなと思いました。

ただ、このワークブックを一発で理解するのは至難の業です。

理由は2つ。1つ目は前提としてそこそこの微分積分と線形代数の知識が必要になるからです。基本的な微分積分と行列の計算/偏微分/重積分/線形写像/固有値/対角化/あたりが不安な人はこれらの勉強を先にやっておけるとスムーズかなと思いました。(自分は忘れてた部分を都度YouTubeで復習しました)

2つ目はワークブックの行間がかなり広いからです。32章分が300ページに詰め込まれてるので致し方ないことですが、読解難易度が高い部分が多いです。そんな時に補強教材を使えると良いかなと思います!他のブログで色々な参考書がお薦めされていますが、自分は以下2つのコンテンツでカバーしました!

1 . とけたろうさんの統計検定準1級講座
イメージを深める」ために購入して繰り返し動画を見ました。お陰様でかなりイメージが深まりました!(とけたろうさんが出ない可能性が高いと言っている部分も普通に出るので注意が必要)

2 . 「Yuya Kawaguchi」さんのワークブック解説動画
ワークブックの章末問題解説が薄すぎたので、章末問題を完璧に解ける状態にするために活用しました。とても分かりやすかったです!章末問題の解法シートを作ることで整理につながりました。


過去問は1〜2周程度で十分かなと思います。過去問の類似問題はほとんど出ないので、過去問への過学習はかなり危険です。


ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。少しでも参考になれば嬉しいです!

最後に章ごとの具体的な攻略法を簡単に書いて終わろうと思います。(かなり雑な殴り書きになってます。。🙇)


章ごとの感想と攻略法

1章:事象と確率 (重要度★★★★★)
実はTOP3に入る大事な章、なぜなら出題頻度が高いから。舐めてかかると終わる。3つ以上の事象の計算と、条件付き独立の計算が重要。(条件付き独立は28章とも関連)

2章:確率分布と母関数 (重要度★★★★☆)
母関数めっちゃ大事、暗記必須。同時確率密度関数→周辺確率密度関数→条件付き確率密度関数を求める問題はよくあるイメージ。

3章:分布の特性値 (重要度★☆☆☆☆)
そこまで重要な部分は多くないイメージ。

4章:変数変換 (重要度★★☆☆☆)
当たり前のことをめちゃくちゃ難しく言ってる。「逆関数」の発想に近い。「問4.2」は10回以上解いてスラスラ解けるようにした記憶。ヤコビアンにもビビる必要なし。

5章:離散型確率分布 (重要度★★★★★)
超大事。各分布の期待値、分散、確率母関数は全部覚えた。細かいところも容赦なく出る。再生性や無記憶性も重要ポイント。

6章:連続型分布と標本分布 (重要度★★★★★)
5章と同じ。特に多変量正規分布は狙われやすいと感じた。

7章:極限定理、漸近理論 (重要度★★★☆☆)
イメージが大事。式は一個一個完全理解する必要はないと感じた。

8章:統計的推定の基礎 (重要度★★★★☆)
全然基礎じゃない。最尤法はいろんな動画を見てイメージと引き出しを増やした。バイアス&普遍性→クラメールラオの不等式→フィッシャー情報量の流れを押さえると分かりやすかった。

9章:区間推定 (重要度★★★☆☆)
2級とほとんど同じ、結構出る

10章:検定の基礎と検定法の導出 (重要度★★★★☆)
2級とほとんど同じ、結構出る

11章:正規分布に関する検定 (重要度★★★☆☆)
2級とほとんど同じ、結構出る

12章:一般の分布に関する検定 (重要度★★★☆☆)
2級とほとんど同じ、結構出る

13章:ノンパラメトリック法 (重要度★★★★☆)
それぞれの検定法のユースケースと違いを明確に。クラスカルウォリス検定/順位相関係数あたりも意外と大事。

14章:マルコフ連鎖 (重要度★★★★☆)
何より図を書く。落ち着いて解くことが大事。

15章:確立過程の基礎 (重要度★★★★☆)
理解するのに時間かかったけど、とけたろう動画で助かった。。。複合ポワソン過程の細かいところは捨てました。

16章:重回帰分析 (重要度★★★★★)
理論と導出が書かれているので、線形代数と微分積分の知識が必要になってくる。正規方程式は覚えておいて損はない。正則化周りはイメージが大事。

17章:回帰診断法 (重要度★★★☆☆)
地味に狙われる場所。それぞれの手法の目的を押さえておけると良い

18章:質的回帰 (重要度★★★★☆)
主にロジスティック回帰とプロビット回帰。「説明変数が1増えるとどうなる?」が理解できているとイメージが湧いている証拠かも。

19章:回帰分析その他 (重要度★★★☆☆)
地味だし量が多いし難しい。押さえるべきは、ハザード関数⇆生存関数の変換、比例ハザード性のイメージ、カプランマイヤー法の3つ。

20章:分散分析 (重要度★★★★☆)
とにかく分散分析表を書きまくって理解した。乱塊法だと主効果と誤差がどうなるの?とイメージを深めることが大事。交互作用項の平方和を求められると良い。直行表は最後までよく分からなかった。。

21章:標本調査法 (重要度★★★☆☆)
層化抽出方を押える必要あり。ネイマン配分法の式が複雑そうに見えるけど発想はただの層の大きさ×標準偏差。

22章:主成分分析 (重要度★★★★☆)
特にイメージが大事な章①。何がしたいのか?を明確に押さえる必要あり。問題になる部分はパターン化されている印象。

23章:判別分析 (重要度★★★★☆)
特にイメージが大事な章②。式の導出には線形代数の知識が結構必要。後半は機械学習したことがある人ならよく見るものが多い。問23.3はワークブック1難しかったので捨てました。

24章:クラスター分析 (重要度★★★★☆)
特にイメージが大事な章③。距離の計算は計算ミスしやすいので、丁寧に解いていく必要があると感じた。

25章:因子分析・グラディカルモデル (重要度★★★★☆)
特にイメージが大事な章④。よく記事では主成分分析とセットで書かれているけど、目的とやってることは違う。問題はパターン化されているので得点源にできそう。

26章:その他の多変量解析手法 (重要度★☆☆☆☆)
「捨てた」という記事をたくさん見たが、捨てても良いと感じた。軽量MDSの計算は良い固有値の計算練習になるかもw

27章:時系列解析 (重要度★★★★★)
頻出度が高い、大事な部分。AR過程とMA過程の期待値/分散/自己共分散を全部暗記するのは大変だから、導出できるようにしておけると理解も深まって良いかも。スペクトル密度関数あたりは捨てました。。

28章:分割表 (重要度★★★★☆)
分かりそうで分からない章ランキング1位。何回も根気強く読むことが大事かも。グラフィカルモデルの計算は、1章の良い計算練習になった。

29章:不完全データの統計処理 (重要度★★★☆☆)
地味に狙われやすい部分という印象。欠損のパターン、補完法のパターンそれぞれでどういうことが起きる??を押さえる必要あり。

30章:モデル選択 (重要度★★★☆☆)
AIC / BICの特徴、交差検証法を押さえておけばOK。

31章:ベイズ法 (重要度★★★★☆)
大事なところ。共益事前分布を使った事前分布→事後分布の計算がスラスラできるように。MCMC法はイメージを深めることに徹しました。

32章:シミュレーション (重要度★★☆☆☆)
1/4円を求める問題以外は捨てました。。

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