吾輩はパフュームである

吾輩はパフュームである。振り付けはまだ覚えていない。
次にどう動いたら良いかとかとんと見当がつかぬ。何でも今日の朝パンを食べた事だけは記憶している。吾輩はそこで初めてパンを食べた。しかもあとで聞くとそれはクリームパンというパンの中で一番クリーミーな種族であったそうだ。このクリームパンというのは時々はみ出してちょっと手が汚れるという話である。 しかしその当時は何という考えもなかったから別段クリーミーだとは思わなかった。ただ掌に載せた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で転がして匂いを嗅いでみたのがいわゆるパンというものの匂い始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一衣装を着るべきはずの身体がつるつるしてまるでプライベートは家で全裸の女優だ。その後地下アイドルにもだいぶ逢ったがこんなグーみたいなのには一度も出会した事がない。のみならず結構美味しい。そうして食べるとうんこがグーみたいになるかと思いきやそうでもない。どうも詐欺っぽくて実に弱った。これが人間の営む消化というものである事はようやくこの頃知った。なんか消化器官に申し訳なくなった。その申し訳なさで逆にお腹が痛くなった。では吾輩はいったい何を知っているというのだろうか。そもそも吾輩はパフュームの集合意識なのだ。パフュームの集合意識に何も知る由はない。ステージで踊って最高のパフォーマンスをするという意識“だけ”が空間に浮いている状態である。振り付けとかも当然知りはしない。意識だけが立派に力強く存在している。だからこっちを見ないでほしい。
それはそうとわたしは貝になりたい。歌って踊れる貝になるのが夢であった。そう思うことも不思議と許されたようだった。だがしかし何度そう思おうとも吾輩は貝が何なのかすらも分かっていないのである。1+1=おっぱいなのである。これがパフュームの集合意識なのである。
#featuring #夏目漱石 #小説

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