これまでのこと・5(新卒時代)

新卒から三年目くらいまでのことを書こうと思って当時のことをいろいろ思い返していた。とはいえ、もう20年近く前のことなので、今日書いたあとも追加で別の記事を書くこともあるかもしれない。とはいえ、今思うとすごく恵まれた人間関係の環境にいたということに気づいた。

入社して最初の一か月は本社にて研修だった。入社当日、私の思ったことを嘘偽りなく書くと「でかい! 黒い! 圧迫感!!!」だった。中学から大学まで女子校育ち、同年代の男性に囲まれる機会なんてほとんどなかった。この時点で、システム業界は男社会なんだなということはなんとなくわかった。同期に女の子は四人いたけど、男子はその倍。正確な人数は覚えていないけれど、だいたいそれくらい。
あと、ちょっとギャップを感じたのが、自分たちのパソコンを運ぶことになった時、私が当たり前に自分の箱を持ち上げようとした時に同期の女の子からストップがかかった。
「そういうのは男子に任せなさい!」
あ、そういうもの…女子校、男子がいないから力仕事自分たちでする以外の選択肢がなかったんだけど、共学はそうではないのね…。
その後はひたすらC言語の課題をこなす日々。Aの値をBの変数に入れてBの値をAに入れるにはどうすればいいかとか。カレンダーを表示させるのとか。
私と同じで文系出身も何人もいて、いろいろと四苦八苦。理系で情報系出身の二人くらいは、すでに実務のお手伝いに配属になっていた。
私もそのうち、本社のどこかで働くんだろう…と思っていたら、某企業の子会社への出向が決まった。業務委託、常駐組と本社組がいて、私は常駐組に配属。そういうことがあるというのは、説明の時にちらっと聞いたかもしれないけどあまり意識していなかった。でも本社に通うよりはずっと近所だったのには大感謝だった。朝が苦手なので、家を出る時間は遅ければ遅いほどいい。

それで配属された常駐組チーム。新人は私と同期がもう一人。彼の方はシステム関係も学んでいて、私はわりと兄のように慕っていた。そして三年目の超できて人当たりのいい先輩と、リーダーのめちゃくちゃ人間としてできて技術もある先輩。本当に、この先輩方に育てていただきました。
出向先のプロパーの人たちも本当にいい人で、人間関係でいやな思いをする、ということが全くなかった。のちに、それが労働社会で稀なることだというのを思い知るわけだけれども。
最初の仕事はちょうどプロジェクトの新しいバージョンを作るということで、既存のソースコードを直すというものだった。ちゃんと基本設計書の修正、詳細設計書の修正、コーディング、試験という手順を踏んで。この基本の流れを経験できたこと、ゼロからではなく既存のものからどこを直せばいいかを丁寧に教えてもらえたこと、本当に今思うと幸運だったとしかいえない。仕事の基礎は、ここで作ってもらった。
残業は夏くらいに試験が始まると頻繁になったけれど、そこは新卒の若さで特に苦ではなかった。というか、父親が残業当たり前で家にはお風呂に入り帰るという仕事をしていたため、残業することは当たり前のことだと思っていた。ちょっと認知が悪かったような気が今はしている。
とにかく、新卒時代はそんな感じで過ぎていった。

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