国連憲章調印日

 日本(日本国際連合協会)が制定したらしい。なんのためだろう・・・
調印のとき、すなわち1945年6月26日には日本はまだ国連に加盟していなかった。(実際に加盟するのはこの11年ほど後だ)
さて、6月26日はケルヴィン卿の誕生日である。
ケルヴィン卿(=ウイリアム・トムソン)は、物理学者で、次の4つの功績で知られる。
1.熱力学第二法則(Deuxième principe de la thermodynamique)への貢献2.電磁気学への貢献
3.トムソンの定理
4.地球の年齢を計測
 トムソンは、熱が物体中のエネルギーの総量を表す、とした。この温度のことを絶対温度という。ケルヴィン卿にちなみ単位はK(ケルヴィン)だ。
カルノーが思考実験したカルノーサイクルがある、
 これは2つの熱源によるエンジンである、この熱が高温から低温へと移動するときに仕事が発生するという理論に基づく。このエンジンの最大の効果は物質によらず温度の比であるとした。これは熱素(熱は物質であるとする考え方)の存在を信じていた当時は受け入れられなかった。
一方ジュールが、電気の発熱作用に気づく。そして熱自体が仕事に転化すると主張した。温度差がなければ仕事しないというカルノー、熱は必ず仕事するというジュール理論は対立するように思える。この矛盾を解消したのがトムソンなのである。

« Soit un cycle monotherme. Il ne peut être moteur. »

 一つの熱源だけでは原動力たり得ない。熱は高温から低温に常に伝わり不可逆であるという性質を導入して、調停した。この性質に関して、クラウジウスが先に発見し論文にするが、絶対温度を導入した理論を展開したトムソンの方がより一般性に優れていたといえる。このあたり数式を導入するともう少しドラマチック性が増すのである。ただ自分は数式をWEBで表現するのが苦手なので、来年の課題としよう。2,3あたりもその表現力を身に着けてから。。。
4の地球の年齢の話に移る。
ケルヴィン卿は、熱力学を応用して地球の年齢を考察している。地球の熱源は地球ができたときの内部エネルギーであると仮定し、この熱の伝導から、地球の年齢を計算したのだ。2億年〜4億年とした。なんか大きくはずれている。今は45億年とされていることから、10倍もの開きがある。そして科学史家のクーンがパラダイム理論を唱えて以来、天動説とならんでパラダイムの誤謬の格好の例とされてしまう。

L’article de Kelvin sur le sujet est peut-être le plus arrogant de l’histoire de la science: le corps de la «Doctrine de l’uniformité» en géologie brièvement réfutée est d’un paragraphe de long, avec un paragraphe supplémentaire exposant ses calculs. Mais c’est Kelvin qui a fini par être réfuté. Il avait fait (au moins) deux hypothèses erronées: premièrement, que la Terre avait commencé à l’état fondu et se refroidissait depuis, et deux, qu’il n’y avait aucune source de chaleur autre que celle qui restait de la formation de la planète. (Aujourd’hui, les scientifiques pensent que notre planète a commencé comme du gaz et de la poussière; nous savons que la désintégration radioactive est une source majeure de chaleur et que la Terre a 4,5 milliards d’années.)

 ビックデータの時代が到来していると言われている。さまざまな数値が観測されて、さまざまな憶測が飛んでいる。数値が独り歩きする場合もある。
トムソンのような誤謬があるにせよ、数値は世界共通語であり、ものごとをとらえるのにこれほど都合がよく比較検討しやすい言語はない。ただ大事なのは、この数値をどのようにとらえるか、そしてそれは大きく間違えてしまうという用心をすることであり、しかも、この用心もやはり数値を使うことである。理論のダイナミズムに圧倒されて、数値がもたらす誤差を過小評価してはならないのだが・・・

Les calculs ne peuvent jamais être meilleurs que les hypothèses qui les guident, mais si les chiffres sont faillibles, alors quel est exactement leur point? Une réponse est qu’ils nous donnent la possibilité de comparer une chose contre une autre en utilisant une échelle commune. Il est beaucoup plus facile de comparer 1 000 à 100 que de «canoë» à «ananas». Une autre est la spécificité: nous savons à quel point 1000 est plus grand que 100, mais ce n’est pas nécessairement clair ce que nous voulons dire lorsque nous appelons quelque chose de simplement «grand» ou «petit». En effet, deux débats scientifiques récents ont tous deux tourné autour de la question «comment petit est petit»?
試訳)
計算は背後の仮定よりも優れているということはないが、しかし数値が間違っていたら、その意味するところをどのようにとらえるのか。まず回答として、数値は、共通の尺度として、あるものを別のものと比較する可能性を与えてくれるということだ。”カヌー”と”バナナ”を比較するよりも1000と100を比較するほうがはるかに簡単なのである。もう一つはその特性である。
1000が100よりも大きいと知るだけでないのです。10倍の開きがあるということが言える。しかし、単純に大きいとか小さいとか呼んだときよりもそれ(10倍)がなにを意味するかということは、かならずしも明確になっていないのです。実際、最近の科学的な2つの議論では”小さいとはどれくらい小さいのか”というところをぐるぐる逡巡しているのである。
(その2つは以下に示される)
Le premier concerne les risques de manger de la viande rouge. L’année dernière, un groupe de chercheurs a fait valoir que les Américains ne devraient pas prendre la peine de réduire leur consommation de viandes rouges et transformées, car les avantages pour la santé seraient «faibles». Le deuxième concerne l’impact des subventions aux combustibles fossiles. Un article de Nature a examiné si leur élimination aurait un effet important sur les émissions de dioxyde de carbone. Les auteurs ont conclu que l’effet serait «limité». 
試訳)
ひとつは赤い肉を食べるリスクについて、昨年(2019年)研究者グループは、赤肉の消費を下げることに執心するのは妥当ではないと発表した。赤肉の消費を避けることの健康への効果はとても弱いということである。
もう一つは、石油の助成金へのインパクトについて、Natureの記事では二酸化炭素の放出に、補助金を除去すること影響は限定的であるとしたのである。

 この2つの議論について、牛肉の消費の影響は7/1000である。だからその影響は小さいとする。しかしこの記事では、米国の人口に照らせば230万人に影響があり、インフルエンザの死亡率よりも高い影響があるとする、また補助金の削減してもそれによって変わるCO2排出量は0.5〜2Gt(ギガトン)にとどまり、パリ協定の4〜8Gtよりも小さいとしている。がしかし、最大50%にも上るこの数値を小さいと捉えるのはおかしいとしているのである。
トマソンの計算間違いをパラダイムの誤謬とするなら、この小さいという判断もそういった誤謬がないかどうか用心が必要だ。そして、感染者数の捉え方についてもまた同様だと思うのである。経済活動を優先し、感染者数の増加を覚悟する、したがって、その数値は過小評価されがちになる傾向だ。過小評価の影響が後悔につながらないよう用心が必要なのだ。
 しかし、パラダイム誤謬は、実は見抜けない。いわゆるフレーム問題なのである。
 トマソンは熱力学のパラダイムを超えたパラダイム・シフトを果たしたが、地球の年齢の計算では、さらなるパラダイム・シフトがあったということなのである。

 今日は雷の日でもある。西暦930年の6月26日、落雷があり、大納言藤原清貴と右中大弁平希世が即死した事件を菅原道真公の祟りであると憶測した。当時のパラダイムでは祟りは真である。930年を境に祟りは本格化し、947年には鎮魂のための神社が建てられる。
 学問の神にすがる受験生をみていると、いまだに菅原道真は神だというパラダイムは変わらないようだ。
 感染者数の過小評価に雷が落ちないように祈る。
国連環境計画の建てたCO2削減計画も経済活動を優先しているようにみえるが、ここで、過去記事をみてみよう

ガイアとはギリシャ神話の大地の女神のこと
カオスの娘だともいう
ガイア理論とはラブロックがとなえた地球をひとつの
生命体ととらえる見方のことである
デイジーワールド理論によって恒温性を保つ
生物と環境が相互作用する地球の自己統制システムである
ほかの惑星と違い、地球における海洋は凍ったことも沸騰したこともない
という
氷河期でさえも北緯45度以北の地域が影響を被ったのみである
太陽の温度の高低差はすごいのに地球は異例の安定性を保っている
気象を左右する雲について
海藻がおおきな役割を果たす
炭酸ガスを吸収し硫黄を出す気体を出している

水蒸気だけでは雲はできない。
核の回りに凝集しなくてはならないからである
それに必要な核は、硫酸の結晶からなるが
海藻がそれを出しているのである
という
また 海藻は、海の塩分の安定にも一役かっている
という
そういった意味で、グローバルというか
全生命体的にそれぞれの動物は地球の安定に
一役かっているのであるということか

ラブロックは
環境についての科学的な目的意識をきちんと持った方がよい
と警鐘をならす

たしかにCFCがオゾン層を破壊するが
水田から出るメタンガスのほうが有害であるとのこと
30年前 私が小学生だったころは
氷河期が来るといわれていた

ところが今は温暖化現象が取り沙汰されている
物理の世界では、
量子力学以来 不完全性とか不確実とか測定不可能
なことが多すぎて 混沌としてとらえられている
海は混沌のスープである
エドワード・ローレンツの「バタフライ・エフェクト」
が端的に示している通りだ

つまりは予測不可能である
科学が進めば可能かという問いについては
ブリコジンがすでに答えている 「違う」と
イリア・ブリコジンは
散逸構造で有名だが、「混沌を科学するのはやめよう」という
してみると
普遍理論は我々にとって安らぎだが、
それは砂上の楼閣なのであろうか

地球温暖化の原因はCO2だけでなく、環境保全も温暖化すればよいというのはパラダイム・シフトで壊れてしまう可能性もある。
それは予測不可能なのであるからしかたがないにしても、もう少し枠組みを考え続ける努力は必要だと思う。パラダイム・シフトを起こしたのは神でなく人間なのだから。
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<来年の宿題>
・数式をブログで表現できるようにする
・熱力学
・パラダイム・シフトの枠組み(クーンについて)
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