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囲炉裏の日

語呂合わせにちなんで、囲炉裏愛好家たちが1月16日に記念日を制定

わざわざ田舎の風情を味わうとか、不便を味わう、寂しさや孤独を味わいにいく・・・こういうものに私が惹かれるようになったのは、30も過ぎた頃だろうか。社会人になり損ねた。それを失敗だったと認識してからのように思う。上昇指向のときには気づきもしなかったことが、ことさら格別のように思え、その雰囲気が実はそこにあって、その風情を拾い集め損なったのだ。
実は、そこら中にあったのだ。古井戸だとかそういう一見不便に思えるものから眼をそらしてしまっていたのだ。

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囲炉裏には”自在”というものがある。
自在とは、囲炉裏に鉄瓶などをつるすための用具で、つるす際の高さを「自在」に変えられるところから自在と呼ばれたらしい。そして天井の梁の部分から、この自在を掛けるために据えられていたのが自在鉤で、この横木には、魚が彫られていた。魚は目を瞑らないので、火を見張るといった意味があるらしい。そんなことを思い出した。

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囲炉裏にまつわる話といえば、やはり柳田国男だろう。

ボコとは、子供の事で、通常はボッコとも云う。遠野に伝わる座敷ワラシも、座敷ボッコなどと云う。このボコ・ボッコは坊主から発生しており、頭に毛の無い坊主から来ており、昔の男の子は頭を丸めている子供が多かったから、坊主が転化して、ボコ・ボッコになっている。魚釣りなどで、まったく釣れない事を坊主という事から、全く無い意を指している事から、遊びで灰を掘るのは不吉だという意味なのだろう。実際に囲炉裏は、毎日使用する大事な場所であり、火の神を祀る神聖な場所でもあるので、犬猫の様に灰を掘ったり、自在鍵を叩くというのは、神への冒涜にも繋がると考えたのであろう

どこにでも神様を祀るのが好きな日本らしい風景である。
世界の話を集めていくと遠くは、ヨーロッパにも繋がるという。
でも日本から伝わる場所はどこにもなく、さしずめ日本は世界の辺境、袋小路といったところであろうと宮本常一氏などは感慨を込めてそういう。
囲炉裏を囲んで四方山話を語るというのはとてもいいかもしれない。
そんなときには、口承文芸でなくてはならないだろう。

昔話の語り部というものは、大抵皆女性であるというところもキーセンテンスだ。女性は伝承に忠実で、男性の場合には、その場の話を面白くするために盛ってしまうことも多いらしい。だから語り部は女性なのだ。

柳田国男の灰汁坊主のような話をもっと集めていきたい。
今日は、昔話に耳を傾ける日としよう。

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<来年の宿題>
・昔話について
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