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きみはビートルズを聴いたことがあるかい? 【発掘音楽調査ファイル No.1】

みなさま、ごきげんよう。

私、ぴよむにだがお送りする「発掘音楽調査ファイル」インディーミュージックシーンの海に飛び込み、人々が未だ見ぬお宝を発掘するブログ企画である。

第一回目はビートルズ、と言いたいところだが彼らはあまりにも有名過ぎるし、お宝にも関わらず手垢がベタベタにつき過ぎている。

いっそのこと記憶喪失になって、思いつきでタイムマシンを発明し1960年代に飛び立って、手垢がつく前のピカピカの状態で聴いてみたいくらいだ。

きっと、その衝撃たるやThe Shock of the Lightningだろう。


今回紹介するお宝は、そのくらい凄まじい衝撃を持っている。


1st EP やるぞ!/いわしヤング

彼の名は「いわしヤング」。

東京で活動するシンガーソングライターだ。


彼は、かのジョン・レノンも愛用していたRickenbacker 325を駆り、図太いロックンロール・サウンドを鳴らす。


ロックンロールは死んだ。


ロックンロールが生まれてこのかた、こんな言葉は幾度も囁かれただろう。

しかし、ロックンロールは死ぬどころか、むしろゾンビのようにいつの時代でも舞い戻ってくるのだ。

いわしヤングもそのロックンロール・ゾンビのうちのひとりである。

今回、満を持して発表した彼の楽曲に関しての私なりに解説する。


1. 冴えない

EPの1曲目にふさわしい、ドラムスティックの8カウントから始まるごきげんナンバーだ。

ギターはブリティッシュ・インベイジョンを彷彿とさせる中音域極太ドライヴサウンド。

曲調のごきげんさに反して、詩からは自分のできないことや起きない奇跡についての憂いが感じられる。

「幸せ掴みきれたことない」の部分には、誰しも自分の望んだ幸せを掴み取れるわけではないが、それでも掴んでみたいという気概すら感じさせられる。

「瞳は嘘をつかない」。目は口ほどに物を言う。先人たちもそう言い残している。

「言葉はとても曖昧」。曖昧だからこそ、すれ違いや思い違いが出てくる。

曖昧だからこそ、ひとつの言葉に対して思いを馳せ、時には死の淵まで思い詰める。

言語化という行為が必要以上に求められる現代では、その行為自体が自分たちの首を絞めているのでは無いだろうかと常日頃感じている。

あぁ、テレパシーが使えたら、なんて思わなかった日はない。


2. LIVS!!!!

どこかガレージロック・リバイバル期を感じさせる無骨なサウンド。
しかし、メロディにはイングランドの雨の日の情景に似た哀愁が顔を出し、Oasisの「Hallo」をはじめて聴いた日の鬱屈した感情を思い出した。

楽曲の主人公はただひたすらに暗いトンネルの中を進み続けている。

自分に共感してくれる数少ない仲間を探しながら。

歌詞は後ろめたい感情に支配されながらも、人生はとても短いから後悔のないように生きたいという前向きな気概が伝わってくる。

後悔のない人生を送るためなら、ぼくは嫌われ者にだってなってやるさ。


3. そろり

はっぴいえんどやサニーデイ・サービスに似た日本語ロックの雰囲気から、シティポップの爽やかささえ感じるサウンド。

晴れた日の真昼間にビールを飲んだほろ酔い気分の感じ。

少し日焼けした顔の皮膚を、潮風がそろり撫でる。

満員電車のおしくらまんじゅうに疲れたら、この曲を聴きながら海辺に向かいチルな気分に浸るのもいいだろう。


4. ライムライト

ド直球ロックンロール・サウンド。

暑い日の夜道で聴きたい曲。
きっと、いつでもあなたの隣で寄り添ってくれるはず。

「新しいもの探そうぜ 暗くなる前に」。
この部分には自分自身の気分が暗くなってしまう前にという意味も込められているに違いない。

死にたくなるほどに混沌とした世の中だけど、夢中になれる新しい物を探しに行こう。

彼は夜道でぼんやり光る電灯のように、やさしく手を差し伸べてくれている。

今を生きる人びとの、こころの支えになる曲であることに間違いは無い。


おわりに

いかがだっただろうか。

なんと言っても彼の持ち味は、唯一無二の独特な歌声後ろを向きながらでも前に進もうと思わせる歌詞だ。

どんなにどん底に突き落とされても、彼の声と言葉はいい方向に背中を押してくれる。

いわしヤングの楽曲は各配信サブスクで聴けるので、ぜひチェックしてみてほしい。

それでは、また次回の調査でお会いしよう。

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